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もぐら通信 vol.2
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「名刺、要りません!!」
大阪のとある建設会社さんへ訪問した時の事でした。その会社の社員さんに、名刺を差し出し、ご挨拶したところ、一人の社員さんに名刺を拒否されてしまいました。
もちろん、他の社員さんも同席していました。その場の雰囲気が硬直したのは言うまでもありません。私自身も一瞬、うろたえてしまいました。
事の起こりは、7月上旬、営業部長さんからの1本の電話でした。「データベースの仕様書はありますか?ありましたら、その説明とそれを欲しいんですが。ついでで結構ですから、来ていただけたら有り難い。」との事でした。
ここは1年前に当社がお手伝いしたお客さんでした。社内にある顧客データを有効活用して、今後契約拡大につなげていこうという取り組みの一端で、簡易的なデータベースをお渡しました。その際に、マニュアルもお渡し、4組に分けて2時間位ずつ操作方法や、管理項目などについて説明をさせていただきました。
ところが、その後、当時のプロジェクト担当者も、システム担当者も辞めてしまい、結局このデータベースを推し進める人も、操作について把握している人もいなくなっていたのです。そんな状況の中、上層部からの指令のみでデータベースにデータを入力し始めていたようです。
しかし、上手くいかず、もう一度仕切り直しということで、操作方法の復習や使用目的の共有、また入力ルールの統一等が必要になり、今回の訪問となりました。
それならそうと、にわかにデータベースの基本操作説明会が始まりました。
集められた人は、当日の召集だったようで、キョトンとした顔をしていました。そして、一通りの説明をした後、私が舵取りしながら、この顧客データ活用プロジェクトに関わる中心メンバーといわれた社員さん達と管理項目や入力ルールについて決めていくことになりました。
そこで、社員の方ひとり一人にご挨拶しようと名刺を差し出したところ、冒頭のようなシーンになってしまったのです。
拒否した社員さんは総務担当の方で、データ入力には慣れたものでした。
それゆえ、データに関する問題意識も高く、危機感や苛立ちも顕著でした。
恐らく、この顧客データ活用プロジェクトの実務責任者不在のまま、なんとなく現場の社員に任され、目的、方向性、実行計画なども伝えら得ることなく、上司に、ただやっておいてと言われ続けていたのでしょう。
ですから、私が訪問した時、今までの悶々とした感情が混じり合って、このような対応になってしまったんだと思いました。
しかし、私は、この社員さんの対応に打ち砕かれること無く、いつもより慎重に、そしてより丁寧に、打合せを進めました。即答できないこと、また、現時点では優先順位が低いと思われる課題については、決して、否定的な言葉は使わずに、やわらかく、理由を簡潔に述べ、すぐに、今何が重要なのか、という点に出来るだけ絞って話を進めるようにしました。
そして、いくつかの課題や要求の中から、すぐ解決出来そうな事は出来る限り、当日のうちに自ら行う約束をしました。私は、打合せが終わるや否や、データベースに向い、入力の修正や、管理項目名の変更など、作業に取り掛かりました。
すると、それぞれの業務に戻りつつある頃、先程の名刺を拒否した社員さんが、「困ったことがあったらどうしよう。」と言われたので、「メールでも電話でも構いませんので、いつでもこちらに連絡を下さい。」と言って私の名刺を渡しました。すると、にっこりしながら、名刺を両手で受け取ってくれました。
多分、この社員さんは、あの時の対応を後悔しているはずです。
でもこれは、この社員さんが悪いわけでも何でも無いのです。リーダーや上司が時折、現場を見て、そこでどんな事が起こっているのか現象を見て受け止めて、そしてそこで働く社員の様子を見て、社員を気に掛けて声の一つでも掛けていれば、こうなる前に相談出来ていたでしょうし、私のところへ連絡が来るのも、もっと早かったでしょう。
時に、現場にやれやれと言うだけのリーダーや上司を目にすることがあります。しかし、むしろリーダーだからこそ、上司だからこそ、自らやってみせる。周りの人が少しでもチャレンジしやすくする為に率先してやって見せていれば、事態は変っていたと思います。
どんな理論よりもやってみせることが、大きな影響を与えるからです。
私はそれを、「みて、みて、やってみせて!みて、みて、やってみて!!」ということだと思いました。
つまり、リーダーは、さりげなく「(現場を)みて、(人を)みて、(自分で)やってみせて」いれば、現場スタッフも「(現場を)みて、(人を)みて、(自分で)やってみて」くれるということです。
決して、素晴らしい完璧なお手本でなくてもいいと思います。むしろ、ちょっと失敗した方が後からやる人は気持ちが楽かもしれません。要は積極的に参加して、下手でも何でもいいから、やって見せること。それがリードする、牽引力なのではないでしょうか。
この社員さんとはこの日が最初でしたが、帰る頃には、気軽に声を掛けてもらえる関係になっていました。
お互いを気に掛け合いながら、積極的に、みて、みて、やってみてください。そうすれば、今、そこにある障害がすんなり乗り越えていけるかもしれませんよ。
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※レポート部分のみを抜粋して掲載しております
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