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もぐら通信 vol.38 2006.09.20
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〜 目の前に起こる出来事が最良の教材 〜
今年7月、PDRに新しい仲間が1名増えました。それも、当社始まっ
て以来の新卒採用です。正しくは準新卒というのでしょうか。他の会社で
約3ヶ月間の勤務の後、PDRへ来てもらうことになりました。そんな期
待の新人S君の入社式は、ラーメンの匂いがプーンと立ち込める鹿児島の
あるサービスエリアにて。ここで入社の心得らしきものを社長である私か
ら受けることになりました。
というのも、前々から指宿ロイヤルホテルの有村さんの講演会に社員
共々参加する予定で、これはいい機会と思い、急遽、鹿児島まで来てもら
うことになったのです。S君はそんな異例の待遇の中、PDRでの社会人
生活をスタートしました。
今回、新卒の社員を迎えるにあたり、特段、研修カリキュラムといった
ものは用意していませんでした。ですが、まずは現場を知ることからと、
鹿児島から戻るやいなや、既存のお客様に同行してもらうことにしました。
ちょうど7月からコンサルティング業務がスタートするお客様がおりま
したので、まずはそちらから、私に付いて既存客への同行訪問が始まりま
した。
S君が同行したその日は、業務開始の初日で、先方も担当者からプロジ
ェクトマネージャーまで錚々たるメンバーが揃い、やや緊張した空気の中
、業務(研修)がスタートしました。ところが、S君はこともあろうにそ
の研修中、熟睡してしまったのです。これには、唖然としました。もちろ
ん、その後、担当の先輩社員にたっぷりお灸を据えられたのは言うまでも
ありません。
また、社内での話ですが、本の発送作業を行っていた時のことです。
S君には宛名書きをしてもらっていました。弊社の本の支払いは代引きが
中心のため、発送の際、代引き伝票を使用することが殆どでした。そんな
中、私の出張先に送って欲しいCDがあり、その発送について電話で依頼
しました。するとS君は私宛にも関わらず、代引き伝票に私の滞在先の住
所を書き始めました。それを見ていた他の社員が、慌てて、
「これは代引き伝票ですよ。」
と言うと、
「あ、そうですね。」
と、何事もなかったように元払い伝票に記入し直したそうです。
それ以外にもS君に関する伝説は日常茶飯事で、私も含めてみんなが新
しいメンバーを迎えた新鮮さと共に、新人教育のあり方を模索する日々が
始まりました。
S君が巻き起こす様々な出来事の殆どは、社会人としてのマナーや礼儀、
言葉遣いなど業務内容に関することではありません。そしてまた、S君も
悪意や何か根拠があっての結果ではなく、単純に知らないが故の過ちでし
た。ですから、本人は言われるまで、何がいけないのかわかっていないの
です。そんな彼を見て、
「こんなことも説明しなければならないのか・・・。」
と、漏らす社員もいました。
正直言って、私も、特に彼と同じ20代の頃は、社会人としてどうだ
ったかといえば、酒を限界以上に飲んで寮の便器を壊したり、トイレで
寝ていたりと惨々たるものでした。
ですから、自分自身に投影すると、とても偉そうなことは言えません。
しかし、今や社員を抱える身、そうも言ってはいられず、なんとかS君
に育って欲しいと願わずにはいられませんでした。
ところが、私自身、満足な社員教育らしいものを受けた記憶がありま
せん。どちらかといえば、当時は、人に教えてもらうより、盗んで学ぶ
という習慣が強かったような気がします。そんな私ですから人に教育を
施すようなものもありません。
しかし、ただ一つだけ、彼に伝えておきたいことがありました。
それは、S君のお給料は、社長であるこの私からでも、業務の指示を
している先輩社員からでもなく、紛れもなくご契約いただいたお客様か
ら頂戴しているものであるということ。そのことだけは理解して欲しか
ったのです。
彼はまだ、お客様を担当しているわけでもありませんが、会社で必要
とされる様々な業務はその延長線上に発生しているものばかりです。で
すから、報告のメール一つ、言葉遣い一つ、伝票書き一つの全てがお客
様につながっているのです。その小さなこと一つ一つがきちんと出来な
ければ大きな仕事は出来ないと、私は思うのです。
そのことを伝えると、いつもの明るい雰囲気とは異なり、やや慎重
な趣で、
「わかりました。」
と、応えました。
翌日、彼はいつもの100万ドルの笑顔で、職場のみんなに明るく
大きな声で挨拶をしていました。
それと、いつも先輩に叱られてばかりのS君ですが、彼のおかげで
思わぬ副産物がありました。それは、社員同士のコミュニケーション
が増えてきたことです。通常、離れて業務をしていることが多いので
社員間が疎遠になりがちでした。ところが、S君のおかげで、社員全
員で育てる、そんな意識が生まれ、仲間同士であれこれ話しあう機会
が増えたのでした。
まだまだ、S君の道は始まったばかり。私も社長として、彼を通して
起こる様々な事象から多くのことを学び、彼がここへ来た意味を享受し
たいと思っています。
−end −
※レポート部分のみを抜粋して掲載しております
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