【Vol.2】 コンシェルジュ的発想

メールマガジン

 弊社が提唱するインサイドセールスですが、ややもすると「電話営業」とか「テレマーケティング」という言葉で片付けられてしまうことがあります。確かに、電話という方法論でくくれば、同じカテゴリーに位置づけられることは否めません。

 しかしながら、いわゆるそれらと「似て非なり」と声を大にして言いたい理由は2つあります。1つは、インサイドセールスとは電話のみならず、WEBやEメールなどのプロモーションと密接に結びついた手法であるということ。2つめは、インサイドセールスに従事するスタッフのスタンスの違いです。

 ここ数年、『コンシェルジュ』という言葉を耳にするようになりましたが、これは、フランス語で集合住宅の管理人というのが本来の言葉の意味です。最近ではその解釈を広げ、ホテルの宿泊客のあらゆる要望・案内に対応する「総合世話係」というような職務を担う人として使われています。
いつだったか、日本で初のコンシェルジュとして某ホテルの女性スタッフがテレビで紹介されていました。彼女の任務は、宿泊客のあらゆる要望に応えることであり、その要望に対して決して「NO」と言わないとの異名を持つ程でした。

 このコンシェルジュとまでとは言わないにせよ、インサイドセールスにも、非常に近い側面があると考えています。

 インサイドセールスの最終的な目的は商談機会を増やし、受注拡大・売上げ拡大をすることですが、その前に、まず達成しなければならないこととして、顧客にファンになってもらうことに非常に重きを置いています。
このファンになってもらうためには、今まさに、電話口に出てくれたパーソンレベルも含めた立場を理解し、顧客が何を求めているのかを察し、インサイドセールスの立場で応えられる最大限の努力を行います。

 これまで弊社が支援させて頂いたクライアント企業さんで、こんなエピソードがあります。

 中古車販売を行っているB社さんでのことです。車の買替のニーズを探るべく電話でのアプローチを行っていると、車の調子が悪いというお客様がおりました。しかしながら、お客様自身はお金が掛かるからという理由でしばらくその状態で乗り続けていたようです。あわせて前回のオイル交換時の走行距離についても質問を受けました。もちろん、B社が販売した車であれば至急対応となるでしょうが、このお客様はB社から車を購入したお客様ではなく、普段はオイル交換のサービスを利用されている方でした。

 通常なら、走行距離を答えるだけでよかったのかもしれません。ところが、この対応をしたスタッフは、一旦電話を切り、整備担当者に状況を伝え、車がどんな状態であればそれは早急に修理する必要があるのか、その度合いや、修理が必要となったときの費用、またオイル交換時にも点検が無料で可能か等を確認し、お客様へ折返しのご連絡をしたのです。

 すると、「わざわざ有難う。そろそろ走行距離も前回から3000kmになるから近々来店してみます。」と言ってくれたのです。実は、最初はちょっと身構えていた雰囲気もあったお客様でしたが、最後は声色も明るくなっていました。

 また別のクライアントさんでは、顧客が希望した資料の送付状に、電話で聞いた要望や課題にあわせて、「○○と伺っていたのでこの資料が役立つのではないかと思いお送りしました。」といった手書きのメッセージが加えられていました。さらに送付したパンフレットの中で役立ちそうなページにメモ入りの付箋を貼っていました。

 そんなことをやっていては効率が悪いと思われるかもしれません。確かに、効率性や生産性は常に意識する必要はありますし、インサイドセールスはワン・トゥ・ワンでの手厚いフォローをのべつまくなしに行えというものでもありません。

 ただ、2つの事例は、インサイドセールスのスタッフがそれくらい顧客のことを考えて、その1つ1つの対応を丁寧に行っている事例であり、それがスタッフのスタンスとして常にあるという証拠だと思います。

 インサイドセールス業務に従事するスタッフは必ずしも社員とは限りません。会社に対するロイヤリティもそんなに高いとは言えないかもしれません。しかしながら、このような対応が身についている理由は、こうした顧客の小さな期待に応えていくことが大きな成果に繋がるということを心得ているからだと思うのです。

 実は、インサイドセールス業務を導入する際に、弊社では必ずインサイドセールスの考え方やスタンスについて研修をさせて頂いております。その内容はCRM※1の概念やマーケティング理論にまで至ります。とはいえ、そんなたいそうなものでもなく、顧客満足あっての商談であり契約であるというマインドをしっかり持ってもらうために少し理論的な裏づけをしているに過ぎません。しかし、なぜ、1つ電話をかけるということにおいて、そこまでするかといえば、単なる作業的な電話に陥らないためです。

 今この場面で、顧客に対して最大限できることを考え、対応していくことは、まさしくコンシェルジュ的発想ともいえるのではないでしょうか。

 この研修を受けたスタッフさんから、以前、こんな言葉を頂きました。「この考え方を営業の方にも知ってもらいたい」と。

 モノが溢れ、商材だけで差別化がし難い世の中になりました。だからこそ、商品力だけでなく、こうした顧客対応の重要性が増していると思います。インサイドセールスのみならず、営業マンを含めた社員全員がこうしたマインドをしっかり持って、顧客の期待を積み上げていくことが、やがて顧客の心に届き、ファンを作り、商談機会や売上げ拡大に繋がっていくものと確信しています。