【Vol.6】金のコール

メールマガジン

 ここ数年の間に、「インサイドセールス」という言葉がだいぶ普及してきたように思います。インターネットで検索してみると、5年前は数件しかヒットしなかったのが、今では結構な数が出てきます。内容を見てみると、テレマーケティング会社のリクルートページの募集職種として使われていたり、営業スタイルとして取り組んでいる企業がこの言葉を使っているようです。

 このインサイドセールスにおけるコール業務(電話業務)の重要性については、いわずもがなというところだと思います。その理由として、非対面であるインサイドセールスにおいて、メールやweb、DMなどの手段とは違い、電話だけが唯一顧客に対し双方向かつリアルタイムで可変性の高い対応ができるからなのです。

 それゆえ、ノウハウが蓄積され、品質に差が生じてきます。そして、このコール業務をいかに標準化し、品質を高められるかによってインサイドセールスの成果・効果が異なってくることは間違いありませんから、どの企業様でもこのコール業務の品質向上に苦心されているようです。
 そこで、コール業務の際、使用するツールの一つとしてスクリプト(電話の台本)というものがあります。このスクリプトを用意することで、コール業務に不慣れな場合でもある程度、業務を進めることができます。

 良いコールをするには、良いスクリプトを作ることはもちろんですが、さらにスクリプトをどう活用するか、またスクリプトに含まれない部分をどう補い充実させるかが、実はもっと重要で、価値あるコールにするか否かを左右するといっても過言ではありません。

 つまり、スクリプトはある程度の品質を維持するためのものであり、スクリプトを踏まえて、アレンジできることが、コールの価値を高めることにつながるのです。

 インサイドセールスでは、広く浅くですが様々な商材を取扱い、まだ状況がつかめていない顧客へ接することが多いものです。よって、提供したいサービスを決めてコールを行うというよりは、顧客のニーズは何か、どのサービスがふさわしいかを判断するため、顧客へのヒアリングをすることが、コール業務でも比重が高く、また役割としても求められることであります。

もし、何かをPRするだけであれば、特定の商品知識は有効かもしれませんが、あらゆる可能性を考えながら商談のきっかけを作るインサイドセールスでは、特定の商材に関る知識は、それがヒットしなければあまり意味がありません。
インサイドセールスでは、顧客がどのような役割をし、どのような課題に直面しているのか、どのような環境におかれているのかをイメージできることが非常に重要であり、それができれば、顧客のニーズが拾えるからです。そして、その情報をきっかけに、営業がアプローチすることができ、具体的な提案・商談につながります。

 この顧客がどのような役割をし、どのような課題に直面しているのかということは、言いかえれば「顧客を知る」ことであり、「社会を知る」ことだと思います。これは、専門知識やトークテクニックを磨くよりも、より本質的で、かつより高度なことをインサイドセールスに求めているのかもしれません。だからこそ、価値のあるコールが実現できるのです。

では、そのために行うべきことは・・・。

第一に、顧客の声でわからなかったキーワードや寄せられた質問について報告してもらい、それに対するフィードバックをこまめに行うということです。またこれらノウハウを1人のスタッフの経験に留めるのではなく、共有し、全体へ還元していくことで底上げにつながります。それを集めてFAQ(想定問答集)や用語集を作成し、新しいスタッフへの教育資料や各自の見直しのツールとして活用します。

第二に、新聞記事や雑誌の記事に触れ、常に顧客に関連した情報や自社のサービス、世の中の動きなどにアンテナをはれるよう訓練することです。最初はスーパーバイザー(※下記のPDR用語集参照)などの管理者が記事を用意し、解説をしますが、徐々にオペレーションを行うスタッフにシフトします。こうして情報量を増やしながら、多角的なものの見方を身につけていくようにします。

こうした積み重ねによって、ふとした瞬間に発せられ顧客の声に反応し、リアルな顧客の状況や本心が掴めるようになってくるのです。

お客様の声は本当に宝です。ビジネスチャンスはもちろんのこと、経営のヒントをも示唆していることが実に多いと感じています。顧客の声にいかに反応していけるか。私はこうしたことができたコールを「金のコール」と呼んでいます。

1本のコールを「金のコール」にするかただのコールにするかは、たゆまぬ努力と日々教育の賜物であると思います。