【Vol.13】 大きな商談は小さな商談の陰にあり

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 今回は少しマーケティング用語を用いて、インサイドセールスの活用についてお伝えしたいと思います。

 ライフタイムバリュー(以下、LTV)という言葉をご存知でしょうか。LTVとは顧客から永続的に取引を続けてもらうことによって得られる利益・価値を指します。顧客生涯価値ともいいます。

 最近では、これと類似した考え方で「顧客内シェア」というものがあります。こちらは、一人の顧客において特定の商品群の購入金額や数量に対する自社製品・サービスの割合を指し、これにより競合と比較してターゲット顧客に対してどの程度浸透しているかをみます。

 この顧客内シェアも自社や自社商品・サービスへのロイヤルティや顧客の購買力による自社シェアを高めることを目指しています。

 シェアというと一般的には、どれだけ多くの顧客に浸透しているか数やその広がりの視点で考えられがちです。しかし、この2つの考え方は平たく言えば、どれだけ顧客にひいきにしてもらっているか、ファンになってもらっているかであり、要するに、その一人の顧客との関わりの深さに軸を置いた考え方です。

 営業現場でいうならば、リピートオーダーやその顧客からの購入額全体を増やしていくにはどうするかということでしょう。

 先月、こうした顧客への関わり方を経営の軸として考えている某会社の社長さんからインサイドセールスの仕組みを実現したいと、お声を掛けていただきました。

 会社の現状をヒアリングさせていただくと、嬉しいことに新規のお客様からの問い合せは多いが、既存のお客様のフォローがなかなかできていないこのことでした。

 それと、社長さんが自身のこれまでの営業経験から、そして経営者の今となっても経営哲学ともいえるくらい重要視していることは、最初の受注や単品注文こそが大事で、その後の売上を左右する大事な商談であるということでした。

 どういうことかというと、とかく最初の受注や単品注文というのは商談金額は小さい。しかし、その目先の金額の大小にとらわれない営業活動が重要であるということでした。

 なぜならば、最初の受注は取引を開始するにあたり、商品そのものはもちろんのこと、営業の在り方やサポート体制、会社としての信頼性等、様々な面でまだまだ不安があるはずです。その状態でいきなり高額なオーダーをするケースは稀でしょう。ですから、最初は小さな注文で様子をみながら取引額を増やしていくというのが顧客の心理としてもあると 思います。

 また、単品注文は費用が嵩むようなカスタマイズもなければ、関連商材を含めたコンサンルティング的な要素もないため、商談金額も小さい場合が多いですが、ゆえに営業コストや開発コストを抑えることができます。もしこうした単品注文がリピート化し増えていけば非常に安定した収益が維持できます。

 ゆえに、小額の商談だからといって疎かにすることは決して得策ではないということなのです。

 しかしながら、一般的には目先の商談金額が大きい案件とそうでない商談があれば、金額が大きい案件を優先することは間違いないでしょう。営業の人数は限られていますし、顧客のすべてを等しく対応することは難しく、営業効率からいっても優先順位をつけて対応しなければならないのは自明のことです。

 そこで、インサイドセールスの登場です。

 先程の単品注文顧客であれば、難しい商材ではありませんので、フォロー内容もプログラム化しやすく、インサイドセールスでの対応も十分可能です。また、年間購入金額小さい顧客は顧客比率としても多いはずですから、より数の多い顧客を効率良くカバーするには最適です。

 もちろん、インサイドセールスは企業側だけのメリットで考えるものではありません。なぜなら、金額の大小にかかわらず、顧客フォローを円滑に丁寧におこなえたとすれば、CS向上につながる仕組みだからです。

 前述の社長さんは弊社の本を繰り返し読んでいただいていたこともあり、ピーンときたそうです。お客様を大事にしつつ売上を維持していくことができる仕組みがインサイドセールスであると。

 LTVや顧客内シェアの拡大は、顧客と永くいい関係を築きながら継続的に売上を上げていくことにほかならなりません。

 大きな商談は小さな商談の陰にあり。そのことを誰よりも実感し、目先の売り上げだけにとらわれず顧客に向き合って社長さんの確かな目がインサイドセールスの本質をとらているのではないでしょうか。