【Vol.27】 「ノー」の返事の効能

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GW明けの打ち合わせをもって半年間支援させていただいたクライアント企業様の支援が終了いたしました。その最終回の会議で、とても重要な出来事がありました。

 そのクライアント企業様は、インサイドセールスを昨年11月に発足し、手探りの状態から始め、早5か月が経過しました。その間、いつくかの商談も発生し、営業との連携も少しずつそれらしくなってきました。

 毎月行われる月次報告会では、インサイドセールスの活動全般や営業引継案件の進捗状況、そして顧客対応に関するトピックなどが報告されます。そこで報告されたあるエピソードが今回のテーマです。

 そのエピソードとは・・・。

 インサイドセールスチームが新規のお客様にアプローチをしていました。すると、初回のコンタクトにも関わらず、具体的なニーズをキャッチすることができ、トントン拍子に商談にまで話が進みました。

 ところが、話を詰めていく中で、顧客のニーズにマッチしたサービスを提供することが困難であることが明らかになり、結果、その商談はお断りせざるを得えませんでした。

 とても残念ではありますが、その結果を受け、インサイドセールスは、営業に変わり、「今回はご提供することができません。」とお詫びのお電話をしたところ、そのお客様からこう言われました。

「営業してきた時は『やります、できます』と言っておきながら、その後一切連絡をくれない会社がほとんどの中、誠実な返答は本当にありがたい。今後何かあれば、是非お力添えをいただきたい」と。

 この言葉をみなさんはどう感じますか。

 確かに、この案件は受注には至りませんでした。今回のことを、難しい案件を拾ってきて、ちっとも役に立たないインサイドセールスと思いますか。それとも、今回は、お断りせざるを得なかったが、しっかり顧客の信頼を 得ることができ、良いきっかけを作ってくれたと思いますか。

 もちろん、弊社としては、後者の意見なわけですが、このお客様が言うように、「ノー」の返事をくれない企業が多いという現実、そして、それは、あまりにも自社都合の、目先で商売になるかならないかだけの判断で対応していることにより、顧客の不信感を募らせていることが伺い知れます。

 そんな中、たとえ顧客の要望に応えられない結果であっても、顧客の声に誠実に耳を傾け、対応をしたことが、大きなアドバンテージになることを示して頂いたと思います。

 これは、当然と言えば、当然のことですが、それができている会社、できている営業がどれだけいるのでしょうか。

 こうした顧客の声に応えていく、1つ1つはとても地道でかつ当然極まりない活動の連続ではありますが、その積み重ねでしか、本来の商談はあり得ないのではないかと思っています。

 インサイドセールスは、場当たり的に対応し、表層的にあるニーズを拾い案件化することが目的ではありません。その顧客にとって何が本当に必要かを考え、それは単なる商品やサービスだけでなく、提供する情報や、日々の対応に至るまで、顧客視点で中長期的に関係を築き、その結果として商談につながる関係や環境を作ることを目的としています。

 今回のことは、営業がダメでインサイドセールスが良いということを言いたいのではありません。多くの会社がそれだけ営業にたくさんのことを依存しすぎた結果、しわ寄せが顧客へ向かっているのではないかと思います。 ですから、そのしわというか歪を伸ばしていく仕組みが必要だと思うのです。

 この半年間、支援させて頂いたクライアント企業の営業部長さんは、「営業の仕組みを変えて欲しい。そしていつも工夫して欲しい」と常々、インサイドセールスのチームのメンバーに言っていました。

 きっと今回の重要性も十分に理解し、長年の営業現場での苦悩をよく知っているからこその発言だと思います。

 少なからずとも、今回の件で、インサイドセールスのメンバーもその意味を感じたことでしょう。

 この「ノー」の返事の効能は、顧客の信頼を作っただけでなく、営業の課題を浮き彫りにし、その大きな営業課題改善の旅へ向かう船のチケットを手渡してくれたのではないでしょうか。