【Vol.30】 セールスストーリーの共有

メールマガジン

インサイドセールスの効果についてクライアント企業の方と、しばしば議論になることがあります。その際、インサイドセールスの効果として、顧客との接点確保や様々な顧客情報の収集、また顧客とのリレーションシップなどが挙げられますが、それだけでなく、当然のことながら、商談機会の創出と最終的な受注にどれだけ寄与できたかということだと思っています。

 しかしながら、大抵、インサイドセールスだけで受注になるわけではありません。すると、どこからどこまでがインサイドセールスの実力で どこからが営業の力なのかわかりくにいという話になります。

 簡単にいえば、営業が勝ち取った受注か、それともインサイドセールスによる受注なのかはっきりさせたいようです。確かに、「この受注は、インサイドセールスによってもたらされた受注ですよ。」と明言でき、その件数や受注額を数字で表すことができれば、企業側としては導入効果などを測定しやすく、社内浸透もしやすいことでしょう。

 もちろん、インサイドセールスの効果を数値化することは必要なことであり、それを行うための方法論も当然ありますが、インサイドセールスが直接の理由として受注できた数がどれほどかということは、正直、どちらでもよいと思っています。それよりも、全体として商談機会を増やし、受注件数や受注率をどれだけ向上させることができるかが先ではないでしょうか。

 インサイドセールスは、弊社ではクロージングを得意としない、あるいはそもそもクロージングをしない部門であるとしていますが、インサイドセールスそのものとしては、クロージングまで行う営業部隊として捉えることも間違いではありません。

 
 しかしながら、商談機会をつくるまでのスキルやノウハウとクロージングするスキルやノウハウとは異なるため、弊社としては、敢えて、商談機会をつくるまでのプロセスにこだわっています。よって、インサイドセールスだけでクロージングすることは皆無であり、結果、インサイドセールスが要因となって受注できたかどうかを数値的にカウントすることは非常に難しいと言えます。

 もちろん、インサイドセールスの貢献度を数値化することも可能です。接点確保だけなら何ポイント、具体的なニーズまで引き出せたなら何ポイント、具体的な導入スケジュール迄把握できたなら何ポイントと設定する等です。しかし、このようにインサイドセールスと受注と関係性を細かく測定することもよりも、まずは、インサイドセールスを活用することにより営業がどれだけしやすくなったとか、営業全体としての受注件数が増えたかということの方が重要ではないでしょうか。

 スポーツで言えば、誰にMVPを与えるかよりもチームとしての勝率を高めていくことが先と言うことです。そこで、最終的にチームとして、企業として成果を上げていくためには、何が必要かということが今回のテーマです。

 インサイドセールスといわゆる営業(フィールドセールス)はチームです。インサイドセールスはサッカーで言うところのボランチでしょうか。ボランチはゲームメーカーともいわれるようですが、まさしく、インサイドセールスはゲーム=商談機会をつくる部隊ですから、この通りです。これに対し、フィールドセールスは、ゴールを決める人ですから、FWというところでしょうか。

 チームメイトがそれぞれ自らの役割を理解し、どう勝利に導くか、そこには、ストーリーが必ずあるはずです。どんなパスを出せばFWが 決めやすいか、どんなパスが出ればFWはどうゴールを狙うか、それぞれがいくつものパータンの中からこの時ならこれというものを共有し、ピッチでプレーしているはずです。

 ですから、インサイドセールスとフィールドセールスがセールスストーリーを共有し、それぞれの役割をよく認識した上で、プレーする ことが重要だと思うのです。しかしながら、どうもいろいろと話を聞くと、インサイドセールス部門はインサイドセールスで動き、営業は営業で、インサイドセールスがやっていることは「我関せず」という状況が多いです。

 こうした現象の原因としては、営業は最初の接点作りから、クロージングまでの顧客対応の全てを担ってきたという文化から抜け切れず、単独動いてしまうことがあります。良く言えば、人を当てにせず、自力だけでゴールを決めようと頼もしい部分もあるかもしれません。しかし、ややもすると、せっかくいいパスを出しても、スルーしてしまったり、孤軍奮闘しているだけで非効率な営業に陥っているということになりかねません。

 また、中にはインサイドセールスを期待し過ぎて、本当にゴール直前のしかも自分の得意な角度のパスが来るとばかり思っていたら、そうでなかったので、あてにするのを止めたといわれることもあります。いずれにせよ、営業がどういう意図でインサイドセールスを活用するのか、またインサイドセールスをどう活用して次の展開として営業が何をするのかをお互いに理解していない状況では勝利はつかめないということです。

 そして、それはアカウント営業のように、1社1社に対するセールスストーリーではなく、マーケットとして捉え、どのようにそのマーケットを開拓していくか、そのセールスストーリーやマーケットストーリーを共有し、展開していくことが必要だと思います。

 そのためには、インサイドセールスを単なる営業の下請け的な位置付けで活用していてはうまくいきませんし、インサイドセールスも受託する姿勢でいては、いい仕事はできません。できれば、インサイドセールスとフィールドセールスが、マーケット分析からセールスストーリーの策定までを一緒に行い、議論しながら、それぞれの業務に落とし込んでいくことが全体の受注率、本来の求めるところの成果を挙げていくことだと思います。

 インサイドセールスが組織の営業の仕組みとして上手くいくかどうかはこの営業連携におけるセールスストーリーの共有がキーであり、営業とインサイドセールスのつなぎ目となる担い手がキーマンといっても過言ではありません。

 是非、インサイドセールスを検討する際は、このキーマンを誰にするか、組織として決定し、双方の連携を常に取れるようにしていただくとよいでしょう。