【Vol.32】アウトバンドに求めるもの

メールマガジン

テレマーケティングの業界では、受信業務をインバウンド、発信業務をアウトバウンドといいます。インサイドセールスはもちろんインバウンド的な業務も無きにしもあらずですが、大半はアウトバウンドになります。

 インサイドセールスにおけるチャネルの一つである電話での顧客接点や情報収集、販売促進等は全て、こちら(企業側)が起点となって活動するものですから、アウトバウンドが当然多くなるというわけです。

 さて、そのアウトバウンドですが、今回はインサイドセールス一筋でやってきた私が長年抱いている想いを皆さんと共有させていただき、 今後のアウトバウンドについて一緒に考えていただきたいと思います。

 実はコラムを書いている私は、インサイドセールス業務を社会人として初の仕事とし、それ以来、今まで十数年この仕事に携わってきました。そこで、常々思っていることとは、いかにテレマーケティング業務がとりわけアウトバウンド業務が低く見られているということです。

 こんなエピソードがあります。

 かつて支援した企業様では、インサイドセールス部門を立ち上げるため、派遣スタッフを新規で採用しようとしたところ、なかなか人材が集まりませんでした。依頼した派遣会社の営業からは苦戦している理由として、「テレマーケティング業務のニーズは多いのですが、人材の方が手薄です。登録しているスタッフの多くは事務職を希望していまして、営業やテレマーケティングはちょっと少ないですね・・・。」と。

 また、こんなこともありました。仕事の帰りに、東京駅校内の喫茶店でぼんやり休憩していると、隣のテーブルの会話が聞こえてきました。 主婦らしき女性2人は仕事を探しているようで、仕事について、「テレマの仕事はあるけど、嫌だよね~。」と一人が言うと、それに輪をかけて「絶対、嫌だね。」ともう一人の主婦が言っていました。

 
 私は、「ああ、やっぱりここでも嫌われ者か。」と、なぜか無性に悔しく、そして暗い気分になりました。

 コールセンターへ行ってもアウトバウンドの仕事を普段インバウンドの仕事をしている方に手伝ってもらえないかと依頼すると、大概は「インはいいけどアウトは嫌です」と言われる事が多いです。

 同じ電話という手段を使った仕事でも、ここまでアウトバウンドは嫌われているのかと、本当に悲しくなってしまいます。

 どうして、ここまでアウトバウンドが敬遠されるのか。

 それは、日本において「アウトバウンド(発信業務)=電話営業=迷惑電話」という方程式が成り立ってしまうからです。

一般の個人宅にかかってくる、不動産会社や投資会社からの電話や化粧品、清掃業などの電話、企業宛でも電話回線のコスト低減の話、 人材採用系の電話など、本当にたくさんの電話が架かってきます。その多くの電話が、「一方的・強引・しつこい」という印象を相手側に 与えているからです。そしてそのような電話を委託されている業者もそれとは知りながらもアウトバウンドはそういうものと諦めて、いや、 甘んじて、クライアントに言われるがままの仕事を引き受けているように思います。

 私はアウトバウンドをそのような代物にしてしまったのは、企業の都合によるものだと思います。それは発注する側、受注する側の両方に その責任があると思います。

 なぜなら、発注する側は売れさえすればいい、目先の注文になる顧客に当たる迄とにかく電話をかけまくればいいというような風潮が今までの電話営業であり、テレマーケティング業界のアウトバウンドの占めるニーズの大半がそうしたハプニング受注を目的としたものだったのだと 思います。100件の拒否があっても5件くらいひっかかればいいという発想です。

 ハプニング受注とは弊社でしばしば使われる言葉でして、明確な営業ストーリーや顧客理解もなく、行き当たりばったりでたまたま出くわした受注をパプニング受注といっています。

 このハプニング受注を目指していると常に視点は受注であり、顧客一人一人に向る意識が欠落しがちではないかと思います。「関係ない、 興味ない」と言われた時点で、もう顧客でもなんでもないという発想になり、こちらの都合で架けてきたにも関わらず、ぞんざいな対応をしたり、 コミットした目標を達成するために顧客状況を無視して話を続けてしまうという悲劇が起こります。

 そうすると、そうしたアウトバウンド業務に従事する者も疲弊し、顧客には嫌な印象が蔓延するという負のスパイラルが始まります。

 また一方で、それを受注する側の責任として、それを打開する提案を行ってきたかと問いたいのです。

 実は、そんな私もアウトバウンドが決して、好きでも、電話の仕事が得意でもありませんでした。幸運なことに私はたまたま顧客管理の重要性を説き、顧客志向であった会社に入り、そのDNAを受け継ぐことができたから、今のインサイドセールスがある訳です。

 そこで、今一度考えたいのは、商売の原点は、顧客との信頼関係の延長線上にあり、その顧客との信頼関係は既に取引する前から始まっているということです。

 目先の5件の受注を得るために、見えない95人を無視してもよいのかといえば、そうではないと思います。私は、今回「関係ない、興味ない」と言われた方に将来の顧客の姿を見るのです。

 ですから、アウトバウンドに企業は一体何を求めるのか、それをもう一度考え、是非、顧客に喜ばれるアウトバウンドにしたいと切に願って おります。

 インサイドセールスはクリエイティブであり、ホスピタリティに溢れた素晴らしい仕事だと思っています。それは営業という仕事の本来の姿ではないでしょうか。