【Vol.51】普通の会話をする

メールマガジン

 これまで、弊社ではインサイドセールスの構築、運用については、
主にインハウスでの運用支援をして参りましたが、ここ数年はパートナー
企業様の協力を得て、アウトソーシングを活用した支援も行えるようになりました。
 
 これにより、現行の営業組織を大幅に変更したり、新しく人員を確保
したりすることなく、インサイドセールスを内製化しなくても、
インサイドセールス機能を活用することができるようになりました。

 そのため、プロジェクト単位やセクション別のプロモーションを短期的にお手伝いする機会も増えてきました。

 そのような中、次のような声をクライアント様よりいただきました。

 その声とは、
「普通の会話をして欲しいのですが、御社はどのようなコールをするのですか。」
というものです。

 どういうことかといいますと、どうもコールセンターで展開されるコールというものは、非常に丁寧かつ流暢ではあるものの、何か無味乾燥な紋切型のトークで、通常の営業現場や日常的にある会話とはかけ離れた印象を持っているようでした。

 しばしばそのクライアント企業にも掛かってくる電話をイメージしてのことだったようですが、また、それらは、会話というよりはマニュアルに沿って話をしているという雰囲気が感じられ、受け手の立場として考えると、なんとなく本音を話す気に慣れないというのです。

 実際に、弊社のパートナーではないコールセンターベンダーへ業務を
依頼した際、センターでの音声を確認したところ、「驚愕した」と
漏らしていました。

 その理由は、普段の会話ではありえない(高い)テンションで、普段の営業シーンでは恐らく使わないであろう丁寧語を多用し、とにかくドンドン会話を進めていくそれに、正直、電話して欲しくないと感じたそうです。

 さて、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

 今回は、この「普通の会話」とは何か、そしていわゆるコールセンターが、この「普通の会話」から逸脱していくのかを探っていきたいと思います。
 弊社では、過去にもコールセンター企業のアウトバンドコール支援を行った事があります。実はその時も、弊社も同じような印象を持ったことがあります。

 なぜか、コールセンターで繰り広げられるコールは、相手不在で、とにかく造られた会話というか、普段の会話にはちょっとない雰囲気に陥ってしまいがちです。もちろん、全てのコールセンターがそうだとは言いませんが、往々にしてそのような現象が散見されます。 

弊社では、インサイドセールス業務の企画、設計からオペレーションに
関する教育、コールモニタリングや履歴のチェックまでのすべてを行います。
これはアウトソーシングの場合でも、実際のパートナー企業のセンターで
スタッフの方へ直接指導させていただいています。

 その研修や教育の場でわかったことは、まず研修のあり方が違うようです。

 どちらかというと、これまでは特にこれまでインバウンド経験者であった方がアウトバウンドの教育を行うと、まずは、注意する点がトークマナーや聞き取りに重きを置かれがちだということです。

 確かにインバウンドは、相手(顧客)に用件がありますので、まずは相手の用件を正しく聞き取る必要があります。よってとにかく、受け止めるという姿勢・スタンスが求められます。

 しかし、アウトバウンドを主体とするインサイドセールスでは、企業側に用件があり、会話をリードしていく必要があるので、正しく聞き取ることも大切ですが、会話をいかに運んでいくかという姿勢やスキルが重要になってきます。

 但し、企業側がいつまでたってマイクを話さず、自分ばかり話してしまうと、一方的な会話になり問題です。良い例は、いつの間にか顧客が話し手に変わり、企業側が聞き役に回っているような状況です。

 とはいえ、話し手が顧客に変わったとしても、プロモーションの目的に沿って、展開する必要がありますから、目的が逸れないよう時には会話を上手にコントロールしながら進めていく必要があります。だからまさしくリードしていくのです。

 また、会話が盛り上がったとしても、あまりにもロングコールになってしまうのも生産性が低くなりますので、適切なタイミングで収束することも重要です。

 このような点に留意しながら、会話を造るのではなく、相手(顧客)に話し手に回ってもらうようにさりげなく計らうには、顧客を理解しながら会話を進めることがとても重要です。

 この顧客を理解しながら会話を展開するという点が、まさしくインサイドセールスの肝になる部分だと考えています。

 ですから、インサイドセールスでは、敬語やトークマナーよりも、
そのプロモ―ションが実施される背景や顧客の状況を理解し、自分の言葉で話すことがより求められます。

 もちろん、弊社からのインサイドセールス業務以外でもこれらのことは当然、重要な点ではあると思いますが、これまでの様々なコールとの大きな違いは、インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、その理解の結果が単なる”聞き取り”ではなく、相手の言葉の意味や真意を理解した上で、自分の言葉で確認し、その上で追加のヒアリングを行うことです。

 ちなみに、追加のヒアリングとは、場合によっては、自分の理解をより正しいものに是正していく場合もあれば、「○○ということは、○○の可能性もあるのか」という、さらに営業的に可能性を見出していくためのプラスαのヒアリングである場合もあります。

 そうすると、時にはスクリプトには網羅されていないことを確認することあります。

 そのせいか、一例ですが、”聞き取り”タイプのコールの場合、スクリプト通りに話し、聞き取り事項に対し聞き取ったこと示すための文言が設問との間に定期的に述べられ、(例を挙げると「さようですか」「かしこまりました」という言葉が等間隔に入り)、次の聞き取りに進むということがセオリーのようです。

 ところが、インサイドセールスは、ヒアリングとは言え、単なる”聞き取り”ではなく、理解をした上での会話を求めるため、「はい」「ええ」「そうですか」といったシンプルな頷きや相槌程度で会話を繋いでいきます。

 そして、その会話の中で、良く理解できなかった内容については、自分の言葉で聞き返しや追加の質問を交えながら本来そのプロモーションで達成すべき事(顧客のニーズを明らかにする、検討事項や導入の可能性を見出す)を実践していきます。

 よって、研修では、短い期間でのプロモーションでも、出来るだけクライアント企業事業内容や営業体制、営業プロセス等、プロモーションの目的を丁寧に行っています。またそれらに加えて、良くある顧客の声を事例に、その顧客が意味するところを解説し、理解をすすめるための追加のヒアリング事例なども説明をしています。

 さて、もう一つ先のクライアント企業の声で、”あり得ないテンション”
というのがありました。この原因は、一つに不安の表れではないかと思います。

 実際に、オペレーションの現場で、特に初めてインサイドセールス業務に携わる場合、「専門知識や商品知識がない」という理由で「聞かれても答えられない」という不安にかられるようです。

 しかし、インサイドセールスでは、聞かれてもわからないことは無理に答える必要はありません。大事なことは、その質問の意図を確認することです。

 なぜその質問があったのかー。

 具体的に検討事項があるからなのか、それとも単純に情報として知っておきたいだけなのか、それとも・・・。その真意がわからずに、むやみに即答する必要はないと思います。

 インサイドセールスはリードジェネレーション業務を主体としていますが、クロージングが必要な時はもちろん、もう少し掘り下げた知識も必要かもしれません。しかしながら、知識というものはどんなに身に着けてもきりがありません。

 質問があったならば、顧客が何らかの興味を示してくれた証であり、
喜ぶべき状況です。そして、その時実践すべきことは、回答の意図を正しく理解し、すぐの回答が必要なのか、時間的なものを確認し、然るべき人にリードとして情報をつなぐことです。

 そのことをオペレーターにも理解をして臨んでもらうようにしています。

 顧客も質問の意図が伝われば、安心するものです。そのためには、やはり理解したことを自分の言葉で確認することがポイントだと思います。相手の言葉やスクリプトにある文言が自分の言葉に還元できたとき、それはイコール理解できたと同様です。

 そして、会話をしている自分自信が本当に理解しながら進めた会話は、
第三者から見ても良く理解できる履歴になりますし、相手(顧客)と通じ合えた爽快感が双方で味わえるものです。

 それが「普通の会話」ではないでしょうか。

 このような視点でインサイドセールス業務を進め、経験を積んでいくと、実は、委託された業務の顧客が違っても、業界が違っても、商品が違っても、上記で述べたような普通の会話が出来ることがわかってきました。

 また、わからないながらもわかろうとする姿勢が、顧客に伝わり、
実ははるかに高い比率で目的を達成している事例がいくつも出てきました。
これはインハウスの方が実現しやすい傾向がありますが、今では、アウトソーシングでも遜色がないくらいです。

 インサイドセールスは、一般的なアウトバウンドのコールよりも手間暇がかかるのは事実です。しかし、その結果は、確実に成果となって実を結んでいると感じています。