【Vol.62】人間は考える葦である

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「人間は考える葦である」とは、フランスの哲学者、ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)の有名な言葉です。

 思想家でもあり、数学者でもあり、キリスト教神学者であったパスカルは、人生の目的は幸福であるとした上で、真の幸福を考察し、物事を徹底的に考え抜いた人だったようです。

 なぜ、今、パスカルなのか-。

 実はこのパスカルの言葉によって、長年インサイドセールスに関わっていながらも、解けずにいた一つの問に、やっと結論らしきものが見えてきました。

 よって、今回はこのパスカルの言葉を軸に、インサイドセールスにおけるオペレーションの根本的な部分に迫りたいと思います。

 ご存知の通りインサイドセールスは、間接的なコンタクト手段を駆使する手法ですが、その中で唯一、双方向かつリアルタイムに顧客アプローチできる電話は、他のそれらとは異なる部分が多く、それゆえ、オペレーションの仕方、考え方には各社、違いがあるようです。

 しかしながら、電話というキーワードだけで、テレマーケティング業務と同一視されることが多く、現実、テレマーケティングの代替的な言葉として使用されることもしばしばです。

 では、改めて「何が違うのか?」と問われれば、テレマーケティング<インサイドセールスであり、テレマーケティングには含まれていない要素やスタンスの違いがあることは明らかだと思っています。

 しかし、それをどう表現したらよいのか、そして本当に何が違うのかを
ズバリ言えないまま、これまでいました。もちろん、テレマーケティングを否定するつもりも、優劣を語りたいのではありません。

 インサイドセールスとは何か-。
 その仕組みを導入する企業においても、実務を担うひとり一人にとっても、それを明確に捉えておいていただきたいのです。なぜなら、それによって準備する事も成果も違ってくるからです。

 では、インサイドセールスとテレマーケティングは何が違うのか-。
 つい先日、インサイドセールスの実務を委託しているパートナー企業様との会議中に、ある言葉が浮かび上がってきました。

 インサイドセールスのオペレーションによって創出されたリード情報は、案件の可能性や確度に基づき、レベル分けをします。弊社では、このセールスリードのレベルとインサイドセールスのオペレーションが連動しており、ある一定のレベル以上であれば、その場で次のオペレーションが展開、アドオンされるような設計になっています。

 もう少し具体的に言いますと、例えば、しばしば営業から期待される訪問打診(アポ取り)は、訪問に値するニーズやポテンシャルがあると判断できた場合のみ実行される、といった具合です。

 ですから、インサイドセールスの実務を行うメンバーは、セールスリードレベルの定義をきちと理解していなければならないですし、また、そのセールスリードレベルを裏付ける情報を顧客からヒアリングできなければなりません。

 こうした設計の元、展開されるインサイドセールスのオペレーションは、どうしても最初の内はセールスリードのジャッジミスによって設定していたオペレーションが正しく展開されないことがあります。

 今回も、そのようなケースが見受けられたので、これを是正するための
対策会議だったのですが、そこでパートナー企業様から出た言葉というのが、「これまでは、オペレーターに考えさせることを極力排除したオペレーションとなるよう努めてきた」というものでした。

 この「考えさせることを極力排除した」=「考えさせないオペレーション」であり、より効率的かつ品質を安定させるための努力であることは理解にた易いことでした。

 実はこの言葉は、かつて幾度となく、他のテレマーケティングベンダー
からも聞いた言葉でした。

 このことは、品質維持の観点では必要なことかもしれません。機械的に
処理することや、ルールによって識別することで一定の品質を維持し、
オペレーターのスキルや資質に頼ることなく、すぐ業務に着手できる体制を整えてきたのです。

 そのことに、反論する気持ちも、否定する気持ちもありません。それはそれで一つやり方であり、工夫・改善の結果だったと思います。ただ、弊社で展開するインサイドセールスは、”考えること”を常に求められるオペレーションであったことに、今更ながら気づきました。

 考えるレベルは展開する顧客の層やステージ、オペレーションの難易度
によって異なります。それゆえ、実行できる人材が限られてしまうことも
あります。結果、オペレーションの難易度と呼応するかのように、実務
メンバーのスキルも階層的になります。

 教育と育成によって、初級→中級→上級と実務メンバーのスキルアップを図りますが、全員が上級に達成するとは限りません。とすると、アウトソーシングでは、いつでも業務を請けられる体制を作るには、コストがかかり過ぎてしまうのかもしれません。

 このようなオペレーションを展開することができたのは、そもそも弊社がインサイドセールス部門をインハウスで構築することを前提としてきた歴史が長かったからかもしれません。仮にそうだったとしても、やはり、「考えることを極力排除したオペレーション」に何か妙な違和感を覚えずにはいられませんでした。

 確かに、”考えるオペレーション”は、その土台を作るまでは、教える側も高いスキルを求められますし、そうではないカルチャーで育成された人材を教育・育成していくのは苦労する面も多いものです。しかし、一旦、考える癖やそのポイント、スタンスを習得すると、それはどのような仕事でも応用が利き、高いパフォーマンスを発揮する人材となります。

 一方、インサイドセールスの実務を担う当事者側においては、仕事への取組み方が能動的になり、仕事に面白さや、やりがいというものを感じやすくなるでしょう。つまり、働く意欲が湧き、仕事が楽しくなり、かつ会社からも求められる人材になるとすれば、人生が豊かになることは間違いのではないでしょうか。
 再びパスカルは、こう言っています。

「人間の尊厳のすべては、考えることのなかにある」
「考えが、人間の偉大さをつくる」

 インサイドセールスは、「考えるオペレーションである」という事、
それがテレマーケティングとの大きな違いではないかと思います。