【Vol.68】好奇心を引き出し、貢献心に火をつける

メールマガジン

 つい先日、コールセンターを運営するあるクライアント様より、
スタッフをどうしたらやる気にさせられるのか、という相談をいただき
ました。
 
 この”やる気”とは、定めたKPIをどう達成するために、そして、
強いては会社のミッションを遂行してもらうためにはどうしたらよいか
というものでした。

 決してこのセンターのスタッフにやる気がないのではありません。

 正確に言えば、やる気はあるが、今までよりもう少し頑張って欲しい、
会社の状況やこれから更なる生産性や効果を生むセンターにしていかなけ
ればならない状況の中で、それを理解し、行動に移してもらいたいが、
それがなかなかできていないという状況です。

 モチベーションについては、vol.39でも解説しているので、やや重複
する内容かとは思いますが、インサイドセールスセンターを構築して
いく上でこれまた必ずと言っていい程ぶつかる問題です。

 これは、弊社が長年インサイドセールスをやってきて、社内のスタッフ
を含め、支援をするクライアント企業様のスタッフの育成に関わって
きて思うことですが、”何かをする”という程のことはありません。

 観念的な事を伝えたいわけではないのですが、結論として言えることは、まずは能動的に動きたくなる働きかけを行えばよいという事です。

 それはインセンティブのような報酬や制度でもなく、褒めると言った
表層的なことでもなく、もっとシンプルでいてかつ根源的なものです。

 つまり、人間が持っているある2つの欲求に訴えるということです。
●「好奇心」を引き出す

 まず、その一つが「好奇心」ではないかと思います。

 インサイドセールスでは、商品や業界の専門知識や営業的な知識、
BtoBにおいては、会社組織について広く理解することが求められます。

 そうなると、今までそのような知識を身に着けていなかった
スタッフはいきなり膨大な知識を学ぶことを求められ、不安になったり、
パニックになったりすることがあります。

 もちろん、お客様を理解するためには、必要なことなので、
これはなんとしてでも乗り越えてもらう事なのですが、苦しんで乗り
越える必要はなく、楽しみながら乗り越えることができるものだと
思っています。

 その原動力が「好奇心」です。

 ヒトが人として生まれた赤ちゃんの頃は好奇心の塊のようなもの
だったと思います。見るもの、聞くもの、全て珍しく、触ってみて、
匂いを嗅いでみて、しまいには口に入れて味まで確かめる・・・。
こんな光景はよく目にしますよね。それ程、元来人間は好奇心の
塊なのです。

 これが大人になると上手にコントロールされているだけであり、
好奇心が無くなったわけではありません。

 知らないことを知るのは楽しいことです。一般的に旅行が好きな人は
多いかと思いますが、旅行を例にとってみると、わざわざ知らない土地
へ足を運び、普段の生活とは違った体験を求めます。旅先で見たもの、
試したものから得た小さな驚きや発見は、知識や見識となり、その人の
教養や幅を広め、人生を味わい深いものにします。これは実に楽しい
ことですね。

ところが、自分が望んだものでない、自ら求めたものでないとなると、
好奇心どころかやらされ感満載で、その時が過ぎるのをじっと待つ・・・
なんてことになりかねません。

 そもそも仕事は何のためにしているのでしょう。
生活のため、スキルアップのため、目的が何にせよ、必ず目的があって
働いているはずです。

私は、個人の生活や人生において、今の仕事が存在している限り、
必ずどこかで関係しているのであって、だから仕事で学ばなければなら
ない知識や見識は身に付ければ必ずこれからの人生に役立つものだと
いうことをリアリティを持って感じてもらうことが重要だと思います。

 今の仕事が、知らないだけで自分の生活に関わりがあったことや、
今の便利な世の中になったのは、自社の○○というサービスが関係
しているとか、世の中の流れやカラクリみたいな事が分かると、
グッと見えてくる世界が違ってくるはずなのです。

 その面白さを是非、スタッフにも伝えて欲しいと切に思うのです。

 知らないことが分かってくると、お客様との会話も雲が開けるた
ようにスッと理解できるようになりますし、話が通じるというのは
とても楽しいことです。

 そして、私たち個人個人はこの世の中の一部であって、どのような
仕事も自分たちの生活に関わりがあるものばかりなのです。
その「自分」との関わりが見えてくれば、人は興味が湧いてくる
はずです。

 何せ、世の中で一番興味があることは「自分」のはずですから。

 その「自分」に関連づけられて今の仕事を見ることができれば、
好奇心がムクムクと起きだして、自ら駆け出すことが出来ると
思っています。
●「貢献心」に火をつける

 そして、もう一つは「貢献心」です。

 貢献心とは、貢献したいという気持ち、人の役に立ちたいという
欲求・喜びのことです。この欲求にアプローチすることです。

 人は自分の存在意義を求める生き物です。自分が必要とされると
感じられると誰でも嬉しいはずです。誰かの役に立っているという
感覚、何かの役に立っているという感覚は素直に人を動かします。

 インサイドセールスでいえば、フィールドセールス(営業)へ
セールスリードを引継した後、それがどうなったか、その後のフィード
バックがあるだけでも嬉しいものです。それが必ずしもいい結果に
至らなかったとしても、です。

 インサイドセールスが努力して導き出したセールスリードの行方は、
当事者であれば誰もが気になるものです。

 仮に、うまく商談にならなかったとしても、そのセールスリードが
きっかけでお客様との関係が繋がったことや、インサイドセールスが
対応した時にお客様と約束した事が果たせたということだけでも、
十分に嬉しいものです。

 もちろん、見事、受注になれば、それは文句なし嬉しいことです。
単なる労いよりも数十倍、数百倍嬉しいに違いありません。

 そして、インサイドセールスの仕事が紛れもなく、会社に利益を
もたらすものである=役に立っていると感じると事ができれば、
もっと役に立ちたいと思うようになるでしょう。

 これは、私の実体験でもあり、数多くのスタッフを見てきて思うこと
だったのですが、少し調べてみると『貢献心は本能だ』と、ぐるなび会長
の滝久雄氏は著書でも述べているようです。

 人から感謝されると嬉しいと言う声も良く聞きます。感謝まで至らなく
ても、何か役立っているというその感覚だけで人は動きます。

 だから、セールスリードのフィードバックを必ず定期的に行うように
していただきたいのです。

 時には、インサイドセールスにとって耳が痛いこともあるかもしれま
せん。例えば、「こんな甘い(確度が曖昧な)セールスリードじゃ動け
ない。」とか。そうした叱咤激励も含めて、フィードバックして欲しい
のです。

 フィールドセールスの役に立ちたい、会社に貢献したいという気持ちは
誰にでもあるはずです。

 そして、もっと身近に感じられる誰かの役に立ちたいと思うものです。
●あなた自身が魅力的であるかどうか

 2つの基本的な欲求にアプローチするということの他に、もう一つだけ
加えると、インサイドセールスセンターに関わっているあなた自身が、
魅力的かどうかということも視野に入れて欲しいのです。

 ここでこう書くことは、弊社コンサルタントのハードルを一気に上げる
ことにもなりますが、敢えて書きます。

 インサイドセールスを提唱する我々自身が覇気がなく、清潔感に欠け、
楽しそうにインサイドセールスの実務をしていなかったらどうでしょうか

 そんな人の言うことを聞きたいと思うでしょうか。これはコンサル
タントとクライアントの関係でなくても同じだと思います。

 魅力的とは、容姿がいいとか、おもしろいとか(良いに越したことは
ないですが)、そういうことでなくても、とにかく元気で前向きで、
楽しそうにインサイドセールスに関わっている事が第一だと思っています

 さらに言えば、人間としてもやはり魅力的であって欲しいと思います。

 振る舞い、言葉使い、身だしなみ・・・どこから見てもあの人から
学びたい、あの人のようになりたいと思ってもらえるよう自分磨きを
して欲しいと思っています。人は本当に良く見ているものです。

 ただ、その一つ一つの行動の多くは、至極当たり前の事の積み重ね
なのです。

 あなたの一つ一つの振る舞い、言動、そのすべてがセンターの雰囲気を
作っています。

 インサイドセールスは企業の売上を支え、お客様に対するサービスの
質を向上させ、そして自らの人生も豊かにする、そういう仕事だと私は
信じています。

 だからこそ、そこに従事する人はピカピカの魅力ある人の集まりで
あるはずだと思うのです。