【Vol.70】お菓子箱より本棚をください!

メールマガジン

 昨年、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんのことは、
記憶に新しいかと思います。先日、近くの図書館で、そのマララさんの
著書「武器より一冊の本をください」に目が留まりました。

 まだじっくりは読んでいませんが、女子教育の重要性を説いている本の
様です。

 その本のタイトルにヒントを得て、今月のインサイドセールスの肝は、
「お菓子箱より本棚をください! 」と題してして、お届けします。

 さて、このお菓子箱や本棚というワードは、何かの比喩ではありません
まさしくそのものです。

 どいうことかといいますと、社会人になって驚いたことに、お菓子の
配給制度があることでした。職場には、お菓子が入った箱が常備されて
おり、15時頃になると、誰からともなくお菓子が回ってきます。

 たとえ配給のタイミングで離席していても、ご丁寧に机の上にはちゃんと私の分のキャンディやクッキーなどが置かれていたものでした。

 「こんなに毎日、おやつを食べていたら太ってしまう。ただでさえ、
デスクワークなのに・・・」と、新人の頃は、せっかくのおやつを、
引出しの中に閉まったりもしました。

 また、その時は、私もカタブツだったので、おやつよりも、
今の仕事を理解するたの知恵や知識が欲しいと思ったものでした。

 私事で恐縮ですが、以前勤務していた半導体商社でインサイドセールス
の実務スタッフをしていた当時、社会人経験もまだ浅いこともあり、
電話の向こう側にいるお客様の話していることがさっぱりわかりません
でした。

 半導体、しかもASIC(特定の用途のために設計、製造される集積回路)
という専門性の高い領域だったので、文系出身の私には会話の半分以上は
まるで外国語でした。

 それはその筈で、扱っていた半導体も海外製品であり、会話の相手は
概ねデジタル設計の技術者でしたので、製品や開発環境の事をヒアリング
するにも出てくる用語は殆どがカタカナや英語交じりで、極端なに言えば
「テニヲハ」ぐらいが日本語のような状態でした。

 分からなかった用語をネットで調べても今一つ理解できない。

 そこで、ランチに技術部門の先輩を誘って、デジタル設計について
説明してもらったこともありました。

 また、顧客サービスの一環で月2回送信していた、通信機器の開発者
向けのニュースレターを社内で発表するメンバーにも志願したりもしました。

 その甲斐あってか、だんだんと会話の中身がわかるようになり、業務を
進めていく余裕も生まれてきたころには、配給されるおやつも美味しく
いただけるようになりました。

決して、私の苦労話をしたいのではないのです。

 まさしくこれと同じような事が、支援しているクライアント企業さんで
今、まさしく起こったのでした。

 電話で、インサイドセールスの実務を行うの現場の方から、
「会社のことを知りたいとスタッフが言っているのですが、何か良い本や
教材はありませんか」と相談がありました。

 この一言でピーンと来ました。誰からの申し出なのかすぐに分かりました。

 この電話の前日、そのクライアント企業のインサイドセールス部門で
新しいメンバー向けにOJTをしてきました。

 その時、私が付いたスタッフは、コミュニケーション能力が高く、
好感を持てる会話をしていましたが、電話を終えた途端、茫然として
いました。

 聞けば、お客様の言っている事が殆ど理解できなかったと言うのです。

 そして、会話の内容をログ(履歴)として残そうとしても、スタッフ
の手が動きません。会話の中身を理解していないので、どうまとめて
よいのか、どう書き残せばいいのか全くわからない様でした。

 会話の内容が理解できなくても話が進められたのは、予め用意した
スクリプトと、傍で私がナビゲートした結果でしょう。もちろん、
リアルタイムの指示に対応できたスタッフのスキルの高さもあります。

 とはいえ、恐らく一人では完遂できなかっただろうということと、
お客様の会話を理解できなかったことにショックだった様です。

 このスタッフはコールセンター経験も長く、向上心もある方なので
そのショックの大きさはきっと相当なものだったのでしょう。

 会話が理解できなかった理由は、それまでは殆どコンシューマーに近い
顧客の対応をしていたため、会社組織への理解が圧倒的に欠落していた
ためです。

 また、セールスプロモーション的な位置づけよりも、サポート的な
位置づけの業務経験が長かったせいか、営業知識や意思決定プロセスに
対する理解も浅かったのではないかと思います。

 この会社組織に対する理解や、営業知識、意思決定プロセスへの理解は
BtoBにはマストともいえます。

 この分野は、営業部門などで社会人経験を積んでいれば、自然と感覚的
に身に付くものでもありますが、業務を細分化し、切り取られた枠組の中
で業務をしていると、どうしても体系的に理解しにくいようです。

 何はともあれ、ついこの間まで、職場で配給されるお菓子を楽しみに
していたスタッフが、今回は菓子ではなく、本を、知識を、知恵を欲しい
と言ってきたのです。

 これは、大きな変化だと思います。

 お客様のことを知りたい、貢献したい、今自分が求められるやっている
ことを明らかにしたい、これは当然の欲求です。

 お菓子は、仕事が終わった後にゆっくり堪能できた方がさらに格段と
美味しく感じるのではないでしょうか。

 職場には、”お菓子箱より本棚をください!”インサイドセールス界の
マララの願いです。