【Vol.74】いつの間にか現場で交わされている!?不可侵条約

メールマガジン

インサイドセールスの専門コンサルタントとして、十数年やっています
と、インサイドセールスの現場で不可解な出来事にも遭遇するものです。

その七不思議の1つ、”オペレーションにおける不可侵条約”について、
今回は、解説して参りたいと思います。

 さて、この「不可侵条約」という言葉ですが、ウキペディアによると、
「相互に相手国に対して侵略行為を行わない事を国際的に約束し、条約に
よって明文化するもの」とあります。不可侵条約で最も有名なのが、
かのヒトラーとスターリンが手を結んだ独ソ不可侵条約ではないでしょうか。

 歴史の大舞台で起こった出来事を引き合いに出すほど、大事ではないの
ですが、時々、インサイドセールスの現場で不可侵条約がいつの間にか
締結されていることがあります。

 つまり、どういうことかと言いますと・・・。

 約7~8年前に、インサイドセールスの立ち上げ支援をさせていただいたクライアント企業様から久しぶりにお声がかかりました。

 現在も、インサイドセールスの実行部隊のマネジメントをされている
方からのご相談だったのですが、その内容とは、オペレーションスタッフ
の教育についてでした。

 オペレーションスタッフとして、立ち上げ当時から活躍しているメンバーを筆頭に、3年、1年選手に最近入ったスタッフもいるので、改めてインサイドセールスの実務的な研修をして欲しいとの事でした。

 これはごくごく自然なことです。

 但し、それだけでなく、今のコールオペレーションの内容も果たして
今の内容でよいのか、オペレーションそのものの評価からして欲しいとの
事でした。

 支援当時はまだ確立していなかったスキルチェックについて一通り、
説明し、その結果に基づいて研修内容を確定していく運びとなりました。
 実は、ここからが不可解なのですが、弊社がスキルチェックをして、
共通的な課題として提示した事は、マネジメント側も十分理解していました。

 しかしながら、それを直接、コールスタッフに「言えない」というのです。

 少なくともこの時、ご相談いただいたクライアント企業様では、
コール経験がないメンバーがマネジメント側の位置していました。

 コール経験がなくても、課題として感じていることは、まっとうで、
そのままストレートに伝えていい内容だと感じました。

 しかし、コール経験がないため、指摘はできても、その具体的な
改善方法までは提示できない、また提示できたとしてもその結果に自信が
持てないため、言えないようでした。

 これと似たようなことが別のクライアント様でも起こっていました。

そのクライアント企業様ではインサイドセールスの実務メンバーは、
コールスタッフとSV、マネ―ジャーで構成されていました。

 マネージャーは営業部門と営業方針のすり合わせや、ターゲットリストの整理、メールや資料送付などの周辺プロモーションとの連携などの役割
を担っていたため、オペレーションの事は、SV以下の業務になります。

 そころが、SVはコールスタッフに対して、指示や指摘はするものの、
具体的なスキルアップのためのアドバイスまでにはどうにも及ばない
様子でした。

 その理由が、やはりコールの経験(アウトバウンド)の有無の
ようなのです。

 ならば、コールをすればいいのではと単純に思うのですが、それがなぜかそうはいかないのです。

 これまで、アウトバウンドのコール経験があろうとなかろうと、
コールプロモーションを設計したり、ターゲットの顧客への理解があれば、対応は可能なはずです。

 コールスタッフと同じ件数を実行する必要もないと思います。
そもそも人材要件も違うので、数件のコールでも育成のためのエッセンスは十分吸収できるはずです。

 模範となるような円滑なコールでなくても良いですし、流暢に話せなくてももちろんOKです。成功事例を出す必要もないと思います。

 大事なことは、肌感覚で、コールスタッフ持つ課題や置かれている状況を理解し、アドバイスすることです。

 もちろん、実際のコールから具体的なコツやノウハウを導き出すことも
重要です。そして、それはやはりコールから生まれるのも事実です。

 また、コールスタッフ側からすれば、時には同じ立場になって、
額に汗して姿を見せてくれた人の言うことはすんなり受け入れらるものです。

 だからこそ、今までやったことが有る無しに関わらず、トライして
欲しいのです。

 しかし、それをするにはどうも大きな壁があるようです。

 そしてそれは、SVやマネジメント側だけにあるのではなく、
コールスタッフとの間でお互いの領域を侵さないようにと不可侵条約が
暗黙知的に結ばれているようなのです。

 これは、あくまでも推測です。双方に確認したわけではありません。
なぜ、そこまでやらないのか。

 SVやマネジメント側がコール業務まで経験があり、具体的な指示や
アドバイス、OJTをするとなると、当然コールスタッフは、今のままではすみません。より高いコールや結果を求められます。

 時折、コール指導の際に「お客様が切り急がれていた」とか、「お客様があまり話したがらなかった」などと、まるで顧客サイドの都合で仕方がなかったようなことを耳にすることがあります。

 本当にそうでしょうか。そこを実際の体験をもって向き合うと、実は違った答えがやってくることの方が多い気がします。

 しかし、現場では不思議な条約が締結されているのです。

 コールスタッフは、コール業務をマネジメント側に侵略されては、自分たちの言い訳が通用しなくなるので困るのです。また、SVやマネジメント側からすると、不慣れで自信のないコール業務に身を投じなくても良いと胸をなで降ろすのです。

 まるで、不可侵条約です。

 このままでは何も解決しません。むしろ、どんどんコール業務は
コールをいつも経験している人にしかわからない、口を出せない業務になってしまいます。

 弊社では、そういったことがないよう、コンサルタント自ら、必ず、
クライアント企業様にてコール業務を経験させていただいています。

 スポーツも同じです。いつでも軽くジョギングや筋トレ程度でもしていれば、現役選手と軽く走る位はできます。そして、昔取った杵柄も生きていきます。

 是非、不可解な不可侵条約は撤廃して、一緒に汗を流しましょう。
そこからしか、新しい答えは見えてこないのです。