【Vol.82】どうしたら顧客が話し出してくれるのか、 そのきっかけ作りのコツとは?(前編)

メールマガジン

 先日、支援しているクライアント企業でインサイドセールスの実務
スタッフに課題をヒアリングしたところ、次のような声がありました。

それは、「顧客に話し出してもらうきっかけをどうやって作るのか、
そのコツを知りたい。」というものでした。

 同日の夕方にあった会議でも、インサイドセールスセンターの
マネージャーからもお客様との会話のきっかけの作り方を教えて欲しいと、ご要望をいただきました。
状況を少し説明すると、全く会話ができないのではなく、それなりに会話は成立しているものの、こちらの投げかけに対して、顧客は「はい、はい」と返答するだけで、今一つ、話してもらえていないということでした。

実は、このような課題はこのクライアント企業が特別ではなく、
インサイドセールスの現場でしばしば起こる課題です。特にもともと
コールセンター業務をしていたセンターや過去にコールセンターでの勤務
経験のあるスタッフが多い組織で起こる課題です。

 勿論、このような状況に陥るのは、顧客と信頼関係が構築できていない
からかもしれませんし、顧客が情報を開示するメリットを感じていない
からかもしれません。だからこそ、そうしたことも想定した上で、
言葉や流れを選び、スクリプトを作成しています。

ならば、スクリプトを改善すれば良いのでしょうか。
いいえ、スクリプトを変えたところで、この問題は解決しません。

それは、なぜでしょうか。

答えは簡単です。
”顧客に話させる機会を自らが奪っているから、顧客は話してくれない”
のです。

 これを裏付ける出来事がありました。

 別のクライアントですが、社内にインサイドセールス業務をする
リソースがないため、短期でインサイドセールス業務を委託したいという
ご相談がありました。

 ただその際に、担当者からは一つ相談をされました。

「他社のコールセンターの電話を聞いて驚愕したことがあります。
そのコールはいかにも(コールセンターから架けてきました)という感じで、普段の会話ではありえない(高い)テンションで、さらには普段の営業シーンでは恐らく使わないであろう丁寧語を多用し、とにかくドンドン会話を進めていく感じで、正直、委託したくないと思いました。」と。

そして、「御社は大丈夫ですよね。実際に架電しているところを聞かせてもらえますか。」と。
 みなさんは、このコメントをどうお感じになるでしょうか。

「あるある。全く同感。」と思ったでしょうか。それとも「いや、
それはその業者が特別でそんなコールはウチではしていない。」と
思ったでしょうか。

 どちらにせよ、そのようなことが事実あるということなのです。

もし、同じ印象を顧客に持たれているとすれば、それはきっかけ以前の
問題ではないでしょうか。

 今回の場合、トークマナー的な課題ではなく、顧客がこちらの質問に
対して、具体的に話してもらうにどうすればよいかという、いわば、
顧客の現状や本音を話してもらえるようにヒアリングするには、
どうしたらよいかという話です。

 そして、そのためには、きっかけ=ヒアリングのスキルやテクニックが
必要だとクライアントは考え、その答えを求めていました。

 しかし、弊社の答えは、ヒアリングのスキルやテクニック以前に、
顧客に話させない状況を作っているのではないか言いたいのです。

 なぜ、そう感じたか。

 弊社では不定期ではありますが、支援の一環として実際の音声を確認
させていただいています。それを聴いていると、やはり大概がヒアリング
以前のコミュニケーションに問題があるといわざるを得ないのです。

 では、そのコミュニケーションの問題について、1つ1つ紐解いて
いきましょう。

●質問をしていない(質問として投げかけ切れていない)

 そもそも、「○○ですか?」ときちんと質問形式で投げかけていないことが往々にあります。スクリプトには質問形式で用意されているにもかかわらず、表現方法が次のように変わってしまっているのです。

具体的な例を挙げますと、情報提供の許諾を得る場面で、
「情報提供をさせていただきたいと思っていたのですが・・・。」と
いうような告白形式ともいいましようか、このような表現です。

「○○と思った・・・」に対して、顧客は「それで?」と、
その先に本題があるのかとも思いますし、“思ったまで”ということで
あれば、結局そうではないのか・・・とも思えます。なんだか、
答えていいのかさえ、迷う質問の仕方と言えます。

 もちろん会話の前後関係から、情報提供をしたいという趣旨は
伝わると思いますが、問いかけるべきところできちんと問いかけないと、
顧客は戸惑い、応え辛くなります。

 また、アウトバウンドの場合、こちらの用件でかけてきているのです
から、きちんと相手に依頼すべきことはし、伝えるべきことは伝えるべきです。

顧客に推し量ってもらうというのは、いささか甘えたスタンスではないかと思うのです。
 ●顧客に応える時間を与えない(自らが回答してしまう)

 質問を投げかけて、すぐ回答がある顧客ばかりではありません。
少し考えたり、話しながら答えを探したり、付け加えたりします。
ところが、顧客が考える暇も与えずに、「○○ですね。」と通り一遍
の(場合によっては全く的を射ていない)回答を顧客が言う前にスタッフが自らしてしまうパターンです。

 このようなケースは顧客側からすると、話す気が極端に失せるのでは
ないでしょうか。

 「いや、そうではなくて」と言ってくれる顧客もいますが、それは稀で、しかも、そのような声も聞こえないくらい、勝手に話しを進めていることもあるくらいです。これでは、開こうとした口も閉じてしまいます。
 ●不自然な相槌、日本語が誤用される

やたらと「ありがとうございます」、「かしこまりました」が適切では
ない場面で使われるパターンです。事例を挙げますと、次のような具合です。

スタッフ:「お送りしていたメールマガジンはご覧になりましたか?」
顧客  :「あ、見ていません。」
スタッフ:「そうでしたか。有難うございます。」

 いかがでしょうか。何が”有り難い”のか、さっぱりわかりません。
弊社では、別名、コールセンター病とも呼んでいます。

 この点について、スタッフに伝えたところ、「回答してくれたことに
有難うございますという言う意味で言いました。」との事。
もう、これは病気と呼べるレベルではないでしょうか。


もう1つ、「かしこまりました」の事例です。

スタッフ:「現状、どちらのメーカーのものをお使いですか?」
顧客  :「○○製のものです。」
スタッフ:「かしこまりました。」

一見、おかしくないと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それくらい、今、日本語が崩れています。

そもそも「かしこまる【畏まる】」とは、
①身分の高い人や目上の人に対し、敬う気持ちを表して謹んだ態度をとること
②命令・依頼などを謹んで承る
③恐縮して感謝する
などの意です。

 単純に、顧客に現利用状況を尋ね、その回答に対して畏まるシチュ
エーションでしょうか。この場にふさわしくない反応になんとなく
違和感を覚えるのです。

 会話ですから、常に流れていきますし、顧客からもわざわざ指摘を
受けることも少ないかもしれません。

 同一の例ではないですが、日本語の使い方については、私自身、過去に顧客から指摘を受けたこともありますが、そういう方も今は少なくなってきているように思います。

だから良いのではなく、その小さな違和感が、話す気を失せさせていることに気づいていただきたいのです。
 まずは、この3点を解消するだけで、ずいぶんと変わってくると思います。

 もちろん、この他に、顧客の回答に対しての反応(リアクション)が
適切ではないなどがあります。

しかし、これは顧客の言わんとすることを理解する知識が欠落している
ことが根底にある場合が多いので、単純にコミュニケーションの問題だけではないです。
 まずは、顧客が話すきっかけを考える前に、スタッフ自身のコミュニケーションの取り方をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

 このテーマについては、コミュニケーションの問題のほか、ヒアリング
やコールのスタンスも密接に関係しています。

 よって、次号では、「どうしたら顧客が話し出してくれるか、そのきっかけ作りのコツとは?(後編)」として、このヒアリングやコールのスタンスについてお届けしたいと思います。