【Vol.84】営業の本音と建て前~インサイドセールスなんて要らない!?~

メールマガジン

 青葉が美しい季節になりました。こんな爽やかに季節ではありますが、
今月は、少々ドギツイ話、インサイドセールスの闇の部分に迫っていきた
いと思います。

 題して、「営業の本音と建前~インサイドセールスなんて要らない!?」です。

 ここ何号かは、インサイドセールスの実業務にて起こる、オペレーションの課題や人材育成に関する内容が多かったのですが、インサイドセールスは仕組みであり、組織営業ですから中の話だけではありません。

 インサイドセールスとフィールドセールス、またWebやメールを主体としたプロモーションを行う部門、最近でいうところのMA(マーケティングオートメ―ション)やコンテンツマーケティングを担う部門との連携があってのインサイドセールスです。

 その中でもとりわけ、インサイドセールスの一番のお客様であり、両輪のもう一つの車輪と言われるフィールドセールスとの間には、実は根深い闇があります。
 弊著「インサイドセールスの実務」でも、インサイドセールス運営上の
課題として語っていますが、必ずと言っていいほど、クロージングを担当
するいわゆる営業(フィールドセールス)が思うように動いてくれないと
いう課題が発生します。

 つい先日も、クライアントとの打ち合わせでこんなことがありました。

 既存のあるサービスが終了になり、それに伴う新サービスへのマイグレーションのプロモーションをしていたところ、結構の割合でセールスリードが出現しました。

 現サービスを利用し続けるには新サービスへの切り替えが必要なので、
顧客もサービス終了時期が近づくとともに否応なしに検討しなければなら
ないので、基本的にニーズがある状態のプロモーションです。

 それゆえ、積極的・消極的はあるにせよ、営業からのアプローチを受け入れる傾向にあり、インサイドセールスからのセールスリードは順調に件数を伸ばしていました。

 ところが、せっかく訪問の約束を取り付けても顧客が積極的でない場合や、ややBANT条件が甘い場合は、営業がフォローしない(訪問しない)自体が懸念されるという事が議論になりました。

 もちろん、インサイドセールスでは、質の良いセールスリードを創出するために、きちんとBANT条件を確認し、その内容に基づいて、セールスリードをレベル分けし、営業が優先してフォローできるよう連携のルールを定めて運用しています。

 ところが、これが裏目に出たというか、セールスリードレベルが低いものはフォローしなくていいという誤解が営業現場ではどうも生まれているようなのです。

 実際に、このマイグレーションのプロモーションに限らず、過去に引継ぎしたセールスリードに対して、しばらく経ってから、再度、インサイドセールスにてフォローしたところ、前回のコールで営業連絡の約束をしたものの、営業からは何のアプローチもなかったと顧客からややクレームめいたことを言われる自体が発生していたのです。

 実は、このことは、特定のクライアントの問題ではありません。
こうしたことは、よくあることであり、必ずと言っていいほど起こる課題なのです。

 ですから、インサイドセールス出身のコンサルタントである小職にっとてみれば、営業(フィールドセールス)は、本当は、案件なんか欲しくないのではないと思ったりしています。

 正確に言うと、営業は案件ではなく注文書が欲しいのだろうと-。

 だから、提案をしたり、顧客と様々な調整をしたりすることは実は面倒で、「はい、注文します。」というセールスリードだけ、欲しいのでしょう。

 別のクライアントでも、似たようなことがありました。

 新規の顧客へのアプローチを1年半近くかけてインサイドセールスで
手を変え品を変え、One to One的な対応もしながら、ジリッジリッと
顧客との距離を縮め、やっと「○○のことだったら話を聞いてもいい」
と訪問承諾が取れました。

 そして、営業の出番となったのですが、3か月経っても営業が顧客と
面談している結果がSFAに登録されることはありませんでした。

 理由を聞けば、具体的な訪問日程を決めようと1度か2度顧客へ営業から電話をしたが、不在でそれっきりになってしまったというのです。

 もちろん、営業は一応の対応はしていますが、それでよいのでしょうか

 単純にアポイントを取るのではなく、きちんと顧客のニーズを把握して、その上で営業のリソースを投入するというスタンスでのアポイントであり、そのことは営業も重々承知です。

 ターゲット先も営業が開拓したい、ポテンシャルの高い顧客です。

 それでもなお、このような状態が発生するのは、案件入らないのだと言いたくなる気持ちはご理解いただけますでしょうか。

 しかし、一方で営業からしてみれば、他社とのコンペで戦線恐恐としている中、どうしてもこれからの案件対応は、後回しになってしまうでしょう。これに悪気は全くないと思います。

 また、今期、今月の売り上げを達成するために、日々数字に追われている営業にとって、案件より注文書が嬉しいのは間違いありません。

 インサイドセールスは、残念ながら注文書よりも、案件を創出する方に
強みがあると考えています。

 もちろん、かなり確度の高いセールスリードに遭遇することもあります
し、優位に商談が進むように、質の高いセールスリードを創出していく
ことがインサイドセールスが成すべくことには間違いありません。

 しかし、多くの案件は、そこまで至らないものもあります。また、
それらを営業の裁量で、ちょっとしたきっかけでも商談へ導くという
チャレンジもぜひ、トライして欲しいのです。

 そうでなければ、今の時代、そう簡単に注文にはなりません。

 そのことは営業も頭では理解していると思います。会社の方針で
インサイドセールスを始めることになり、営業部門としてもその効果に期待し、さてスタートとなったはずですが、実際に案件をもらうと、
「フォローはしたのか」、「フィードバックをしてくれ」などと上司でもない他のセクションから言われるようになり、いろいろ関わりも増えてくるので、うっとおしいと思うこともあるでしょう。

 繰り返しになりますが、インサイドセールスは組織営業です。
自分一人のやり方やペースでは済まされません。だからと言って注文書だけが届くわけでもありません。

 そこで営業はもうこの際、インサイドセールスなんて要らない
なんて思っていやしないかと、ふと思うのです。

 建前では、営業の支援をしてくれる良い部門だとか、大事な取り組みだ
と言いつつ、実のところ、これが本音では・・・・と。

 それが、本当であっても構いません。そんなことは日常茶飯事です。
それでも、喧々諤々しながら成果を出していくことが必要です。

 何かを始めたら、それが上手く回り出すまで3年はかかると思っています。

 また、インサイドセールスは単なる仕組みという事だけでなく営業の概念やスタイルも変革することだと思っています。

 旧態依然の営業活動にピリオドを打ち、営業の有り方そのもののマイグレーションを求められている今、痛みを伴うのも当然ではないでしょうか。

 だからこそ、しぶとく、仲良くケンカしながら、成果を掴み取っていただきたいと思っています。