【Vol.85】自己肯定感と業務との関係性

メールマガジン

 今年度がスタートし、もう第一四半期が終わろうとしています。
年度初めに立てた計画は予定通り実行できていますでしょうか。実績が出
ていますでしょうか。

 この時期になると支援しているクラアイント企業のインサイドセールス
部門では、四半期毎の振り返りとして実務スタッフのスキルチェックや
フォローアップによるスキル強化を行っています。それに伴い、弊社の
コンサルタントも現場に入り、あっという間に時間が過ぎていく時期です。

 そんな中、ふと気づいたことがあります。

 それは、インサイドセールスの実務スタッフと接していて、どうも自己
肯定感が低い人が多いなということです。

 先日も、十数人を分刻みで個別フォローを行うという怒涛の数日があり
ました。その中で、あるスタッフの言葉が心に残りました。

 どのようなことかと言いますと、モニタリングをスタッフと一緒に行い、そのフィードバックの際に、「とても落ち着いていて、聞き取りやすい声ですね」と伝えたところ、「私、自分の声嫌いなんです」と返ってきました。

 声にコンプレックスをひどく持っているような雰囲気ではなかったので、もしかしたらこれは照れ隠しかもしれません。しかし、このスタッフに
限らず、コールセンターなどで働くスタッフからは、卑下したり、自分の
ことを否定的に言うのをしばしば耳にします。

 これは、コールセンターで勤務するスタッフに限ってのことではないの
かもしれません。

 日本には「謙遜」という言葉があるように、自分の能力や価値などを低く評価し、控え目に振る舞うことがよしとされる文化があります。

 また「出る杭は打たれる」や「能ある鷹は爪隠す」のように、目立つ
ことを避け、能力があってもそれを隠すことが処世術であるかのように
言われてきました。

 ですから、褒められてもそれを真に受けないような反応をするのが
一般的であり、本当に否定している訳ではないのかもしれません。

 しかし、この自己否定につながるような言葉がどうも業務と関連して
いるように思えてならないのです。

 先日もあるクライアントのインサイドセールスの実務スタッフのスキル
及び成果実績を眺めていました。すると、今一つ成果が挙げられていない
メンバーに共通する雰囲気が浮かびました。

 それが自己肯定感が低いという事です。

 いつも何か不安げで、「難しいですね。」や「私には無理です。」と
いうような言葉を結構、簡単に発してしまうことが多いタイプです。

 それは、「成果が出ていないから、自己肯定感が低いのでは?」という声が聞こえてきそうですが、最初はそれなりに成果が出ていたスタッフでも、業績が低迷しており、スキルがない訳でもないのに、このような状態に陥っているのです。

 もちろん、自己肯定感の低さだけが、その原因とは言いません。

 しかし、伸びていくスタッフというのは、今の時点でスキルがあるかどうかに関わらず、ハツラツとしており素直で前向きなタイプです。

 人からの指摘やアドバイスについても、「はい、分かりました。やって
みます。」と言い、最初はうまくいかなくてもチャレンジをしているうちに、そのコツやスキルを身に付けていくものです。それがやり続けられる人は間違いなく伸びますし、やがて成果を出していく人材に育っていきます。

 反対に、否定的な言葉が多いスタッフは自己肯定感が低いので、チャレンジすることには消極的で、せっかく身に付けたスキルも活用しなくなるので陳腐化し、その結果成果も上がらず、いつしか負のスパイラルに陥っていくのです。

 誤解がないように言うと、必ずしも能力の高低と自己肯定感のそれとは
連動しません。

 しかし、自己肯定感が低いと、持っている能力に自らが制限をかけ、
本来持つ能力を発揮し難くくしている可能性が高いです。

 私は、人の能力にそれほど差があるとは思っていません。得意不得意の
分野や、過去の経歴、思考の癖などはあるものの、能力そのものは似たり
寄ったりだと思います。

 ですから、本当はもっと活躍できるはずなのに、自らがそこに制限を
設けているため、本来出せる成果を出さないまま業務を行っている人が
多いように感じるのです。

 これを、一般的にはモチベーションの問題だとか言うようですが、
ちょっと違うような気がしています。

 もともと人間は、何かによって動機付けされなくても自らの持つ好奇心と人の役に立ちたいという貢献心という2つのモチベーションによって、
様々なことを達成していく生き物だと思っています。

 まさしく、小さな赤ちゃんを見ればわかると思います。彼らは、好奇心と貢献心の塊のような存在で、何にでも興味を持ち、ママが喜んでくれるのを自らの喜びにし、不安定な体つきでも一人立ちし、歩こうとハイハイ、ヨチヨチを続けます。

 生まれたときのモチベーションが100だとすると、それが成長していく中でだんだん目減りしていくというか、それが大人になることかのように、子どもの頃のようなキラキラした目で仕事をしている人は少ないように思います。

 話を戻します。

 これは何もインサイドセールスに限ってのことではないのかもしれませんが、自己否定は業務の生産性や成果にとって何一つ良い影響はないということは事実だと思います。

 ですから、日本の国民性やカルチャーはすぐには変えられないことなので、それはさておき、少なくとも、今、みなさんのいる職場では、自己否定する風習があるとすれば、今すぐにでもおやめなさいと言いたいのです。

 しばしば言霊ということが言われますが、少しそれに似ているかもしれません。

 また、以前、重い鬱にかかったことがある人から聞いた話ですが、脳は現実と仮想の区別はなく、心でそうは思っていないことでも、それを言葉として聞いてしまうと、あたかもそれが現実のように受けとめてやがて行動もそうなってしまうらしいのです。

 それで、何を言いたいのかー。

 弊社は、インサイドセールスによって、その企業の売り上げを支え仕組みを作ることがミッションでありますが、その仕組みを担うのは人であり、その最たるものが現場の実務担当者です。

 そのメンバーが本人の持つ能力を最大限に発揮することが成功の秘訣であり、そのための様々な研修やフォローアップがなされている訳ですが、その根底に、実は、テクニカルな何かよりも、この自己肯定感をアップさせることが、近道なのではないかということです。

 だからといって、自己啓発的な研修をせよということではないですが、日々の会話やふとしたスタッフの発言に耳を傾け、自己肯定感を高める工夫を心がけていただきたいのです。

 その見本は自分自身であり、相手に褒められたら「ありがとう」と笑顔で応える姿を当たり前にしていただきたいと思います。

 そんなところに成果アップの秘訣があると、結構、本気で思っています。