【Vol.86】インサイドセールスにおける「3つのC」

メールマガジン

7月は、インサイドセールスの実務者向けの研修が続きました。

 研修では、主にインサイドセールスという仕組みや手法、顧客醸成
(ナーチャリング)の考え方、そして、コールにおけるヒアリング手法や
トーク展開のコツなどを数回に分けてお伝えしています。

 中でも、より実践的なヒアリング手法やトーク展開のコツは、インサイドセールスの実務担当者にとって、直結する部分が多いため、非常に関心が高く、意欲的に取り組んでいただいています。

 特に、弊社のインサイドセールスのオペレーション経験が長いコンサルタントが時折、研修で披露するトーク例を書き留めようと必死で、「もう1回言ってください」と言われるほど、顧客にどう伝えるか、どう質問するかについては、苦労しているようです。 

 というのも、インサイドセールスは間接的な手法を使って顧客とコンタクトを続けていきますが、とりわけ電話については、人によってスキルの差が激しく、結果も大きく異なります。ゆえに、このトーキングスキルやヒアリングスキルは個人としても、その組織としても身に付けたいスキルの大きな1つです。

 そのため、こうした実践で活かせるスキルを提供するために、コンサルタント自らもオペレーションに加わり、実践ベースでのアドバイスやレクチャーを続けています。しかしながら、そのトーク展開やヒアリングのやり方は教えても、実際顧客にどう言うか、トークそのものは、敢えて考えてもらうというスタンスを取り続けて来ました。

 その理由として、そのトーク、文言とは、対峙した顧客との間において
活きるモノであり、どの顧客にでも当てはまるような必勝パターンとか
キラーワードと言われるものではないと考えるからです。

 また、単純にトーク例だけを覚えても、顧客の状況や会話上のシチュ
エーションによっては、全く意味をなさない場合もあります。

単なる丸暗記的な会話術というのは、表層的なコミュニケ―ションスキ
ルであり、その心の無さがいとも簡単に顧客に見え透いてしまいます。

 ゆえに、「こう言えば上手くいく!」はずが、かえって顧客を遠ざけ、
顧客醸成どころではない状況も導きかねません。ですから、トーク例は
諸刃の剣なのです。

 とはいえ、実際のコールで苦慮しているスタッフからすれば、コンサ
ルタントの知識や経験に裏付けされて出てきたその言葉が、なるほど
上手い言い方をするものだと感心するのは確かで、それを喉から手が出る
ほど欲しいのもわかります。

 しかし、それでもなお、私たちはできるだけ、その1つ1つのトークを
マスターするよりも、それを自らが創り出せるスキルを身に付けさせたい
と考え、研修しています。その方が、汎用性も高く、そして恒久的な
スキルとして活用できるからです。

 これは、もはや、スキルではなくノウハウといった方が適切かもしれ
ません。

 このノウハウを取得することは容易ではないですが、それを諦めた瞬間
に、インサイドセールスがこれまでの一般的なテレマーケティングに成り
下がってしまうように思います。

 もちろん多くのスタッフを抱えるセンターなどでは、「こう言えばいい」という、ある種の型みたいなものを提供し、1つ1つのヒアリングの意味やコールの目的をあまり理解せずとも、誰もが、すぐに実践できる方が効率的だと考えるのも頷けます。

しかし、それは、ややもすると、いかに”型”にはめるかを重視する
あまり、顧客の反応に鈍感になり、直接的な結果(=訪問許諾や資料送付
等のパーミッション獲得)に拘り、それに至るプロセスや根拠が曖昧な活動になり易いと危惧しています。(この”型”の身に付け方やあり様によっては大変有効なのかもしれません。)

 そして、実務担当者はいつしか、自ら”考える”ということも、”顧客
と向き合う”ということもなく、言われたことだけをするコールマシーンの
ようになってしまい、そこには顧客との関係醸成も、商談化への様々な
工夫も生まれず、本質的に成果に至らないと思うからです。

 そのような状況をこれまでもいくつか目にして来ました。

 勿論、これまでのセンター運営を全否定しているのではありません。
ただ、原因を探ってみると、個人の問題というよりはそのように教育・指導してきたことが元になっているのではないか・・・ということです。
 インサイドセールスは、「仕組みとして考える時も、手法として考える
時も結構ハイレベルなことを要求されますね。」と、支援しているクライ
アントに、言われることがあります。

 もしかしたら、そうなのかもしれません。結構難しいことをやっている
のかもしれません。

 単なるコールスタッフという位置付けでしか考えてこなかった場合
(本人も周囲も)、そんなことができるのか?という不安や疑問が湧く
のも自然なことだと思います。

 しかし、だからこそ、成果に繋がると言えるのではないでしょうか。

 インサイドセールスで実践していることの1つ1つは、取り立てて
真新しいことも、特別なことでもありません。

 顧客を知り、その顧客に合った対応を行う、それをただコツコツと
継続していくだけです。この至極当たり前のことが意外と難しいよう
です。

 顧客を知る・理解するだけでも、日々、ビジネストレンドを理解したり、その業種業界や組織を理解したりする努力も必要です。

 顧客に合った対応をするには、もっと総合的に判断しながら、対応を
進めていく必要が有ります。

 そして営業的な成果に結びつけていくには、営業知識や顧客のニーズ
をうまくその組織が提供する商材へつなげる技が必要なのかもしれません。

 ですから、インサイドセールスは、とてもクレバー(Clever)で、
クリエィティブ(Creative)なのです。

 そして、その行動の発露となるのは、カスタマーセントリック
(Customer Centric):顧客中心主義ではないでしょうか。

 これを、弊社では、インサイドセールスにおける「3つのC」と
表現しています。

 研修では、インサイドセールスの実務とは、この3つCを実際に
展開していくとても素晴らしい仕事であるということも、忘れずに
伝えるようにしています。

 将来、インサイドセールスという仕事に就きたいといわれるような
職種にすることが、長年のこの仕事に携わってきたコンサルタントの
もう1つのミッションだと思っています。