【Vol.91】テレアポとインサイドセールスの違い

メールマガジン

 先日、インサイドセールスの導入を検討しているクライアント企業様にて
トライアルプロジェクトの結果報告会がありました。

 このトライアルプロジェクトとは、プロモ—ション企画や基本的なアプ
ローチの方法は弊社が行い、実際にインサイドセールスのオペレーションを
含めてテストを行うというものです。概ね期間は準備を含めて2か月程度。
ターゲッティングも300件〜500件程度です。

 マーケティングデータとしてはかなり少ない件数ですが、期間的なことや
コスト的に考えると、十分に上記の件数でもインサイドセールスを検討する
上で材料となるものは得られます。

 そこで、今回は、インサイドセールスのトラアルプロジェクトを実践した
クライアント企業様の事例を用いて、一般的に行われている”テレアポ”
と”インサイドセールス”の違いについて考察してみたいと思います。

 というのも、既にインサイドセールスに取り組まれている場合は、
その違いは、言わずもがな・・・かもしれませんが、お問合せいただき、
実際に様々なお客様からのお話を伺っていると、まだまだ実感としては
少ないようにも思います。

 また、初めてインサイドセールスを実践された企業様のフレッシュな
意見というは、インサイドセールスの根本的なことを非常にシンプルに
わかりやすく提示してくれているのではないかと思ったからです。

 既に取り組まれている方も、今回の内容から日々の活動を再確認して
いただければと思っています。


 さて、今回、にわかにインサイドセールスチームが発足されたのです
が、メンバー構成は新規開拓を中心に行なっている若手の営業担当者
でした。
 
 また、対象顧客は、過去に営業活動を行ったものの、商談はおろか、
キーマンにも接続できず、その後のアプローチが途絶えてしまった関係
の薄い顧客でした。

 インサイドセールスに限ってのことではないと思いますが、この対象
先、つまりコンタクトするリストの状態によって、その結果を大きく
左右するといっても過言ではないのですが、このような顧客をターゲッ
ティングにしたというのには、もちろん理由がありました。


 どの企業様にもこうした課題はあると思いますが、このクライアント
企業様でも例外ではなく、新規開拓に多くの時間を営業が割いている割に
成果が上がり難いという課題がありました。

 もう少し具体的に言うと、ニーズや商談のチャンスがあれば、営業は、
セールスプレゼンテーション(提案)活動ができるのですが、それ以前の
顧客に対して継続的にフォローしていくのは、個人として組織としても
稼働がかかり、骨が折れることでした。

 もちろん、事前にその顧客のポテンシャル等が明確にわかっていれば、
関わり涯もあるのでしょうが、それもわからないまま継続することは難しく、
また仮にポテンシャルがあったとしても、リードタイムが長い商談になる
と、アプローチがとん挫してしまい、結果的にまた一からのアプローチを
繰り返していました。

 そこで、インサイドセールスによって、関係性の薄い顧客であっても、
本当に醸成(ナーチャリング)できるのか、また間接的な手段によって
どう営業活動に貢献できるのかを見定めるために、敢えて一番厳しい
リストで実施しようとなりました。

 トライアルでのアプローチ内容は、まずはキーマンリサーチとニーズの
把握に落ち着いたのですが、ニーズと言っても取り扱う商材のカテゴリー
だけでも複数あり、どうコールで展開していくかについての企画会議を
重ねました。

 というのも、弊社が考えるインサイドセールスは、1次フォローコール
(接点を確立するところからスタートするコール)については、想定時間を
5分と設定しており、この限られた時間の中で、何をどこまでヒアリング
するかは、どうしても限定的になります。また、コール全体の構成は、
ニーズヒアリングだけではなく、キーマンを特定するためのヒアリングや、
継続的なコンタクトを実現するための情報提供の提示や許諾も含まれており、
その中でニーズを特定していくのは、コールの設計上も苦慮するところで
ありました。

 さらに、企画の中で議論されたことは、営業打診の定義です。

インサイドセールスのスタイルもいくつかありますが、いわゆる営業(フィールド
セールス)とインサイドセールスで営業プロセスを分業するスタイルを提唱
する弊社では、必ずと言っていいほど、この営業打診の基準を決めていきます。

 たとえ、分業しない場合であってもこれ以上稼働をかけるかどうかなどは、
組織として判断基準を明確にしておく必要があると思います。これまで、多くの
営業現場では、営業担当者の個人的な判断であったり、「顧客が来てもいいよ」
と言ったから等の非常に不確かな情報で営業比重を判断しているということが
あったと思います。

 こうしたことを1つずつ整理し、臨んだトライアルでしたが、結果は、
いかにー。

 弊社からは、企画の内容、数字的な結果、一般的な成果との対比、総評など
一通りの結果についてご報告差し上げ、その後にプロジェクトリーダーである
営業部長の計らいもあり、インサイドセールスの実務を実践してくれた、
新規開拓の5人の営業担当者から率直な意見が出されました。

 メンバーからの内容はインサイドセールスによる3つの成果について
語っていました。

 その成果とは、第一に、今まで営業担当者が、訪問してからヒアリング
していた多くの事が、電話でも十分確認できるということが分かった事でした。

 これは、聞き方に特別工夫があったわけでもありません。
もちろん、リードトークやコール設計は様々な考えのもとに設計は
していますが、実際にヒアリングするというそのものの行為は、
特別代わり映えはしない内容です。

 ただ、これまでは「聞けない」、もしくは訪問ありきの場合、
「訪問してから聞けばいい」という発想だったので、ヒアリングすらせずに
いたということだったのです。

 そして、その結果、事前に顧客のポテンシャルやニーズが分かるので
次の訪問のレベルが上がるという点と、たとえ、訪問に至らずとも継続
してフォローすべき顧客かどうかの判断や優先順位が付けられる事が
大きな成果でした。

 第二に、訪問ありきのアプローチの場合は、訪問にならなければ、
担当者の名前もそぞろで、またせっかくメールやWEBコンテンツなど
ナーチャリングできる材料があるにも関わらず、そことの連動は考え
られておらず、訪問できなければ、何も残らないやり方になっていました。

 ところが、インサイドセールスでのアプローチでは、今すぐに提案
できなくても、顧客へメールやWEBでの情報提供を通じて、接点を維持
することができ、「またそれならいいよ」という顧客が意外に多いことも
クライアント企業では新たな気づきでした。

 そして、第三の成果として、データベースの存在です。
これまでも営業情報を共有するツールは構築していました。今回のその
ツールに残された情報も活用しながらの実践だったのですが、これまでと
大きく異なった事は、活動履歴やヒアリングした情報の入力の仕方に
ありました。

 インサイドセールスでは、特に担当制を持たせず、最初にコンタクトした
人と次にコンタクトする人が違うという前提のもと、入力ルールを整え、
テキスト的に残す情報とキーワード的に残す情報を規定しています。
また入力する順番なども原則統一しており、人によって書き方が違うことで
内容が分からないということが無いよう設計しています。

 こうしたことで、実際に普段の営業ツールを使っている営業担当者が
今回のデータベースの運用と比較した時に、各段に今回の方が分かりやすい
という結果でした。

 さらには、インサイドセールスでヒアリングした情報はプロファイル
情報といって予め構築されたセルに情報がインプットされ、
「○○を利用している企業」と検索すれば、それがそのままリストとして
抽出されるようにしていました。

 ですから、日報的な活動履歴の蓄積ではなく、そのまま顧客カルテとして、
あるいはターゲットリストとして活用できるデータベースを同時に整備して
いく方法に、価値を感じているようでした。


 こうしたことから、実践したクライアント企業では、インサイドセールス
の効果や可能性を大いに感じていただいたようでした。


 さて、今月のテーマである、テレアポとインサイドセールスの違いは何か
ということですが、もうお分かりでしょうか。

 ここに挙げた、3つが大きく違うという事ではなかろうかと思います。

 テレアポが悪いとかインサイドセールスのコールが素晴らしいとかを論じる
つもりはありません。ただ、1つ1つのアプローチや社内の情報をいかに
組織的な活動に活用するかを考えると結果的にこうなるのではないかと思う
のです。

 インサイドセールスでも、アポイント中心のアプローチもあります。
それは、ニーズが判明していたり、間接的なアプローチでは顧客情報が
見えない等、営業的なアプローチが有効・必要な場合です。

 つまり、すべての活動に明確な組織全体としての根拠や基準があり、
それらが有機的に連携できるよう仕組みとして設計しているという事です。

 実は、クライアント企業の営業担当者のみなさんは、これまでのテレアポと
インサイドセールスの違いについては認識がなかったようでした。

 ところが自ら実践したことで誰よりも違いに気づき、効果を実感し、
その声は、実践していない他のプロジェクトメンバーにも確実に届いて
いました。

 営業現場の改革へ大きく可能性を示すかのような新しい風がスっと
会議室を吹き抜けた、そんなさわやかさを感じた報告会でした。

 インサイドセールスの可能性を皆さんはどのように感じましたか。