【vol.93】 ヒアリングを阻むもの(序章)

メールマガジン

 弊社では、インサイドセールス業務に必要な役割、体制、業務設計、情報管理、実務者の育成などインサイドセールス構築に関するコンサルティングを行っています。
 基本的な仕組みは至ってシンプルで、それらの基本的な枠組と情報管理の準備が整えば、インサイドセールスを稼働させる迄にそれほど多くの時間を要しません。 しかしながら、最も時間もパワーも掛かるのは、実務スタッフの育成です。
 インサイドセールスの実務とは、電話、メール、WEB、DMなどの間接的なチャネルを使った顧客醸成(=ナーチャリング)であり、具体的な行動として
はテレセールスやメールでの顧客コンタクトです。 メールやWEBを使ったアプローチについては、最近は、デジタルマーケティングやMA(マーケティングオートメーション)といって、ある種その道が確立され、特有のノウハウが形成されつつあります。こうしたメールやWEBでのナーチャリングも広義の意味ではインサイドセールスですが、その内容は他に譲るとし、弊社の強みはテレセールスにあるようです。
 このテレセールスですが、古くからある手法であり、実践されて尽くされた感さえあるかと思います。そして今なお、多くの企業で独自に実践されていますので、このテレセールスを実行するそのこと自体は誰でも出来ることであり、それなりに自分たちの”やり方”というものがあると思います。
 弊社でもコールプロモーションのご依頼を受け、ターゲットの設定やコール設計、そして実際のオペレーション支援までをサポートしています。オペレーション(=架電業務)については、弊社が信頼できるパートナー企業と連携し、弊社が考えるインサイドセールスの仕組みやコールスタンス、情報管理のルールにのっとり、実践し、結果を導いています。
 
 最近は、実務支援や単発でのコールプロモーションへのニーズが増えており、弊社へご連絡いただくクライアント様のほとんどが、「テレマーケティングではなく、継続的に顧客フォローをしていくようなインサイドセールスを実践したいので御社へご連絡しました。」と言われます。
 弊社はオペレーション業務の受託ではなく、あくまでもインサイドセールスを仕組みとして導入を考える企業様へ、その手始めとしてプロモーションの実践から入ることがままありますが、その際、オペレーションリソースを持っているパートナー企業と連携してサービスをご提供しています。
 そうした理由もあり、パートナー企業の開拓も並行して行っています。
 ただ、同じコールオペレーションの経験があるといっても、必ずと言っていいほど乗り越えなければならない壁があります。

 その壁とは、今すぐに結果を出そうと躍起になり、顧客の検討度合や状況を十分にヒアリングせずにアポイントの打診をし、訪問の承諾や約束が得られればそれが成果だとしてしまうというスタンスをどう是正していくかというものです。
 これは、支援しているクライアント企業様においても、全く同様です。
 確かに短期的な成果を狙いたいという気持ちはよくわかります。しかし、そのゴールに向かってプロモーションをどう設計し、どう実践するかは、そう短絡的には行きません。また、以前、「訪問神話」という内容でこのメールマガジンでも取り上げましたが、弊社としては、アポイントありきの営業活動にまったをかけたいのです。 その理由として、大きく営業を取り巻く環境が変化しており、今までのやり方はでは、立ち行かないことが明らかだからです。
 みなさんご存知だと思いますが、日本は人口減少に転じ、強いては就業人口の減少などから人的マイグレーションの問題があります。また以前からのインターネットの普及により顧客側が情報を持つ時代になったことにより、御用聞き営業からソリューション営業・提案営業へのシフト、そして生産性向上・業務効率化の加速による打ち合わせや面談時間の精度アップなどが求められています。さらに、最近の過労自殺の問題も大きく取り上げられ、各企業では、働き方や過剰労働の見直しに拍車がかかっています。
 こうした背景からも、足で稼ぐ営業は今や求められていませんし、不可能な時代になりつつあります。
 そうした課題を解決できるのがインサイドセールスでもあるはずなのに、現場では、アポイント偏重が根強く残っていると感じています。
 その結果、どのような事態になるかというと、ニーズや検討状況を示す明らかな情報がないままにアポイントを打診することになり、顧客も何のための訪問なのかが明確でないので、納得感がなく結果的に成果も低くなるということ。そして、最も致命的なことは、一過性のアプローチになり、継続的なコンタクトがしにくい活動となってしまうことです。
 顧客のニーズも検討状況も様々です。それを各種セグメントやレベルによって、アプローチできるよう顧客状況をヒアリングし、そしてそれらをデータベースで可視化していくこと抜きにしてインサイドセールスとは機能しないと思っています。
 ところが、依頼する企業も受ける企業も訪問のアポイントを成果にしていると、その過程がごっそり抜けていて、検討の度合いにかなりバラつきがあったり、営業にとっても顧客にとっても、有益な面談となるよう、事前情報が必要なはずなのに、そうした情報がないままに営業へ引き継ぐことになってしまいます。

 また、このスタンスが染みついていると、プロモーションそのものの中身としてヒアリングを重視の設計やナーチャリングのための仕掛けをしていても、それが、現場で実践されないという弊害も生じることがあります。
 
 前振りがだいぶ長くなりましたが、インサイドセールスの実務において、このヒアリングがいかに重要かということ、そして質の高いヒアリングするために何をすべきか、そのためにどのような弊害があり、それを乗り越えていくのかについて、本号を含め全4回にわけてお届けしたいと思います。
今回はその序章として、 「ヒアリングを阻むもの(序章)」として訪問アポイント偏重主義の弊害についてお伝えしました。
そして、このアポイント偏重がなくなったからといって質の高いヒアリングが出来るとは限りません。
テレセールスにはヒアリングを阻むものとして、大きく3つあると感じています。
その3つとはー。
 《ヒアリングを阻むもの》
   1)勝手がわからない
   2)知識の不足
   3)心のブレーキ
次号以降では、このヒアリングを阻む3つについて、その内容と具体的な解決策についてお伝えして参りたいと思います。
(次号につづく)

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