【vol.97】インサイドセールスリテラシー、再び(序章)

メールマガジン

 ここしばらくインサイドセールスの育成に関する内容が続きましたので、今月からインサイドセールスの仕組みについて、再び掘下げていきたいと思います。

少し前のことですが、7/22発行の週刊ダイヤモンドに「インサイドセールスで営業が変わる」という特別広告企画が掲載されていました。企画トップには、マーケティング戦略の第一人者である慶應義塾大学大学院・余田教授の総論が掲載されています。

そこにはインサイドセールス普及の背景とその可能性、またMAとの連動や成功の秘訣についても述べられていました。

インサイドセールスをこれから導入される企業様も、すでに導入されている企業様も余田教授の総論は非常に参考になりますので一読をおススメします。

◆週刊ダイヤモンド バックナンバー 7/22発行

あらためてインサイドセールスとは何かというと、顧客を直接訪問して営業する従来の営業(フィールドセールス)に対し、電話やメール・webなどの間接的な媒体を活用して顧客との接点づくりから関係醸成⇒見込み化、場合によってはクロージングまでを担う内勤型の営業手法のことです。

概念的には上記の通りですが、インサイドセールスのスタイルは、大きく3つに分類されると考えています。

1.ワンストップ型

顧客接点からクロージング、アフターフォローまでのすべてのプロセスをインサイドセールスにて完結するもの。MA(マーケティングオートメーション)との連動が高く、webなどで接点をもった顧客に対して、メールやコールにてプロモーションを行い、見積提示や受注まですべてが間接的な媒体で通じて行われる。ロングテール型のビジネスや比較的安価な商材での導入が多いと思われます。

2.ペアリング型

一顧客に対して、フィールドセールスとインサイドセールスがペアになって担当するタイプ。顧客接点は、展示会や新規開拓営業で直接フィールドセールスが得る場合もあれば、webなどからの問い合わせによって得る場合もある。営業プロセスに関わらず、顧客の状況を常にフィールドセールスとインサイドセールスがウォッチし、必要に応じてそれぞれが顧客フォローを行う。いかに顧客維持率を高めるかがキーになるストックビジネス型の商材や、使い方などのフォロー重視のサービスに向いていると考えます。

3.分業型

インサイドセールスの一般的なタイプになるかとは思いますが、インサイドセールスとフィールドセールスが営業プロセスによって営業活動を分業するタイプです。インサイドセールスは主に新規顧客の接点づくりから見込み化するまでを担い、案件化(商談化)すればフィールドセールスへパスアップするスタイルです。リードタイムが長くやや高額で、購入までにコンサルテーションや検証などを必要とするような商材に分業スタイルは効果的です。

弊社ではこの分業スタイルのインサイドセールスに特化して、2001年の設立当時から主にBtoBを主体する企業様の支援をしてきました。これだけインサイドセールスがメジャーになった今、単なるスタイルとしてインサイドセールスではなく、仕組みとしてのインサイドセールスをどれだけしっかり構築できるかが成果はもちろんのこと本質的な営業改革につながると思います。

 紐解いてみると、2014年5月号のインサイドセールスの肝vol.61でインサイドセールスリテラシーついて書かせていただきました。

 リテラシー(Literacy)とは、直訳すると「素養、基礎能力」という意味で、通常は「○○リテラシー」のように特定の分野をあらわす言葉とともに用いられ、その分野に対する見識や活用する力を意味します。簡単に言えば、使いこなせる能力といえばよいでしょうか。

 ですからインサイドセールスリテラシーとは、企業において高い効果を上げるためのインサイドセールスを使いこなす能力、ノウハウといえるでしょう。

 インサイドセールスを導入すること、仕組みとして構築することは、実はそれほど難しくはないです。しかしその仕組みを効果的に活用できるかどうかは、弊社が支援させていただいたクライアントでも差があるのは事実です。

 もちろん、その企業の組織体制やカルチャーや業界特性などを踏まえて各クライアントにあったインサイドセールスを仕組みとして構築はしていますが、共通するインサイドセールスリテラシーとしては下記の5つがあります。

■インサイドセールスリテラシー

1.顧客データの状況をよく理解し、数値的に表現できる。(顧客状況の把握・分析、見える化)

2.自社のサービスの特徴やメリットを理解し、顧客のニーズとのマッチングができる。(適切・的確なターゲッティングと仮説検証)

3.営業部門のリソース、体制、カルチャーを理解した連携ができる。(フィールドセールスとインサイドセールスの適切な役割分担)

4.インサイドセールスの効果が測定できるトレース方法が確立されている。(フィードバックルール、測定指標の策定) 

 

5.各チャネルの特性を活かし、各チャネルを連携したプロモーション設計ができる。(メディアミックス、チャネルミックスの活用) 

 

多少の表現は微修正しましたが、3年半前にインサイドセールスリテラシーとして掲げた内容にほぼ変更はありません。

つまりインサイドセールスのスタイルとして、ワンストップ型だろうがペアリング型であろうが、はたまた分業型であろうが、このインサイドセールスリテラシーがないと効果が出にくいということです。

インサイドセールスを自社の営業手法、あるいはマーケティング手法として導入する際に上記の5つを仕組みに組み込み、それぞれのリテラシーを上げる努力がまず必要なのではないかと思います。

前述の週刊ダイヤモンドの企画で、余田教授は「営業部門とマーケティング部門の有機的な連携が不可欠」であり、インサイドセールスの活動によって「実際にどのような成果が得られたのかをフィードバックしながら連携を深めていく、2ウェイでコミュニケーションが必要」と語っています。これはまさしく、上記の4のフィードバックルールや測定指標の策定に該当します。これはインサイドセールス独自の指標ではなく、フィールドセールス含めた指標を互いに共有し高め合うことがポイントです。

さらに「もうひとつ重要なのは、顧客リストの中身」と余田教授は続けています。対象企業の事業概要や住所といった情報だけではなく、「購買担当者は誰か、購買ニーズが発生するタイミングはいつかなど自社の営業部門にとってどのような情報が有効なのか仮説・検証を繰り返しながら確認し、顧客リストのプロファイル情報を充実させていく」ことが重要です。まさしくこれは、弊社がいうインサイドセールスリテラシーの1、2に匹敵することであり、これ無くして仕組みとしてのインサイドセールスは成立しないと言っても過言ではありません。

ですからインサイドセールスリテラシーとはインサイドセールスを活用する能力としましたが、インサイドセールスで営業成果を上げるために必要な要素、と言い換えることができます。

しかし情報を整備したり、数値化や分析したり、仮説を立てたりすることがあまり得意ではない担当者が現場では意外と多いのも実態ではないでしょうか。

よってインサイドセールスは、これまでのキャラクターを売るとか営業センスだとかいう属人的なものではなく、各パートのそれぞれのスキル(上記でいうリテラシー)を意識的にアップさせることが必要なのです。 

そこで来月は、この5つのインサイドセールスリテラシーについてその中身とそれをレベルアップするためのポイントなどを解説したいと思います。

インサイドセールスが単なるスタイルではなく、営業改革の仕組みたる理由、そしてその仕組みをしっかり構築し、運営していければ確実に成果ができる仕組みであることを皆様にお届けしたいと思っています。 

END