【vol.98】インサイドセールスリテラシー、再び(1)情報管理にまつわるリテラシー

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前号では、序章として、インサイドセールスリテラシーを高めることが成功の秘訣であるとお伝えしました。このインサイドセールスリテラシーには大きく5つありますが、今月から5回にわたり1つずつ解説して参ります。

まずは、情報管理にまつわるリテラシーについてお届けします。

※リテラシー (literacy):活用する能力

■情報管理にまつわるインサイドセールスリテラシーとは

情報管理にまつわるインサイドセールスリテラシーとは、データから顧客の状況を理解できるよう管理し、数値的に表現できる能力(顧客状況の把握・分析・見える化)を指します。

具体的には、顧客情報をシステムで一元管理し、目的別に顧客をセグメントしたり、ヒアリングデータをプロファイリングしたりすることです。また数値的に表現できるとは、定性的な顧客情報を定量的に計測できるよう管理することです。

かつて見られた「日報」のように定性情報の羅列では、マーケティングデータとして活用しにくい場合があります。加工に多大な労力を費やしたり、そもそも加工すらできないため活用をあきらめたりすることがあります。またセールス活動においても、優先的にフォローする顧客の判断やアプローチ方針などを決定する場合に、1つ1つの日報をのぞき込まなければならず、生産的な活動となりにくいです。

ところが、営業やマーケティング活動の結果からこの顧客の見込度はAランクであるとか、次回のアクションタイミングはいつであるとか、今の商談金額は○○万円だが潜在的には○○○万円のポテンシャルがあるなど定量的に顧客を把握することが出来れば、優先順位づけやマーケティング戦略もスピーディに実現できます。

ただし、こうした運用を行うためには、データのインプットから管理、そして運用までの一連の設計が鍵となります。顧客情報はたださえ膨大かつ煩雑になりやすいため、誰が・何を・どこまで・どのようにインプットするかをよく考え、運用フローやシステムを設計しないと無駄な作業が発生したり、本来しなくてもよいシステム改修を繰り返したりすることになりかねません。

この「いつでもすぐに活用できる状態にする」には、まず、「顧客情報をどのように活用するか」を決めることです。なぜならインプットはアウトプットする内容によって決まるからです。

合わせて「情報をどのように管理するか」ということは、プロファイリングする情報の管理項目やセグメントを整備していくことが必要不可欠です。

これらの2つの要素を踏まえて情報管理のイメージが湧き、的確な設計ができれば問題ありません。しかし、そのスキルやノウハウを必ずしも有しているとは限らないでしょう。そこで、インサイドセールスに精通したシステムベンダーに相談するのも一つの方法です。実際にはそうしている企業様も多いと思います。

 

その際、1つ注意したい点として、必ず情報活用の青写真を描いて置くことです。それがないと入力がしやすいだとかアラート機能があるかなど、ツールの構造や機能のディティール的な話に陥ってしまうことがあります。

今、世の中にリリースされているCRMやSFAソフトは汎用性が高く、十分インサイドセールスのツールとして活用できます。それなのに活用のイメージがないために下手にソフトを硬直化させ、せっかくのソフトを台無しにしている例をいくつも見て来ました。

あるべき姿の実現にむけて、システムベンダーに導いてもらうためにも、本当にインサイドセールスを実現できるベンダーであるかを見極める上でも、情報管理にまつわるリテラシーを自社で高めておいた方が良いに越したことはありません。

当然、このリテラシーはシステム担当者や活用する立場のプランナー(プロモーション企画担当)は必須です。さらに、インサイドセールスの現場をマネジメントするスーパーバイザーにおいても、程度の差こそあれ情報管理の根拠や重要性を理解できるくらいのリテラシーは持ち得て欲しいところです。

それだけ情報管理にまつわるリテラシーはプライオリティが高く、インサイドセールスの仕組みにおいて命綱といっても過言ではありません。

よって、情報管理にまつわるインサイドセールスリテラシーが高いと以下のことが実現できます。

①インプットする情報を判断できる

②プロファイリングするための管理項目の設定が可能

③矛盾や重複のない定義づけが可能

④持続可能な情報のインプットやメンテナンス、アウトプットフローを設計できる

⑤中長期的な視点で顧客を管理することができる

裏を返せば、上記が実現できればインサイドセールスを仕組化する上での大半の課題はクリアできたともいえます。 

■現場でも求められるリテラシー

先に、スーパーバイザーにも程度の差こそあれ情報管理の根拠や重要性を理解できるくらいのリテラシーは持っていて欲しいと言及しました。

これはインサイドセールス業務に限ってのことではないと思いますが、スーパーバイザーは日々の進捗管理やプロモーションの成果、各コミュニケーターのスキルなど数値化して把握することを求められます。ですから数字に弱いようでは、ずさんなマネジメントになり易く、システマティックに動いていくインサイドセールスについていくことすら難しくなってしまいます。

もちろん、資質や経験の差もあり、関わるメンバー全員が数字に強くロジカルに物事を理解できるとは思いません。だからこそ情報管理におけるリテラシーを高めるための教育や工夫が必要です。何もこれは特別なことをせよと言っているのではありません。毎日、情報を扱う環境下に身を置き、業務遂行のために必要な情報管理のルールや定義をしっかり伝えていけば、身についていくものと考えます。

実際に、弊社で提案する様々な運用に関するルールや定義は、その結果をシステムへ反映することが前提になっています。ヒアリングした情報から顧客をセグメントします。そのセグメントを基準にコンタクトスパンを決めたり、ニーズを想定したりして今後のプロモーションに活用します。

こうしたセグメントの判断も顧客対応をしたコミュニケーターが行いますので、彼らを束ねるスーパーバイザーがセグメント定義や、さらにはそれらがどう活用されるかを理解していなければ、運用を徹底させることはできません。

ゆえに、システム担当者やプランナーのみならず、顧客情報収集の先端にいるインサイドセールスの実務担当者にこそ持って欲しいリテラシともいえるかもしれません。

■それでもなお、嫌われる情報管理

ここ数年は、SFAの導入が進んだおかけで以前よりも情報管理に関してネガディブな声は少なくなりました。その有効性や効果は少なからず理解をしているようです。

とはいえ、一歩踏み込んでみると「SFAを導入したものの活用が今一つ進んでいない」や「営業が情報を入れないし、見ない」といった声をよく耳にします。なぜでしょうか。

理由はシンプルです。自分には関係ないと思っているからです。

顧客情報がきちんと残り、会社の資産として活用できる点については誰もがメリットと感じるはずです。引継ぎが楽ですし、キーボードを叩けば顧客のことがわかるのでセールス活動上でも大変重宝します。しかしそれがなくても仕事ができる、それが無くても売り上げが作れるとなれば、情報管理はやらなくてもいい仕事になります。

それなのに「訪問結果を入力しろ」、「このルールに従って入力しろ」、「インサイドセールスからのパスアップ案件の対応はいつまでにしろ」と言われると、フィールドセールスにとってはうっとうしいだけの存在です。

しかしそれは、組織営業ではなく属人的営業活動から抜け出せていない証拠ではないでしょうか。もし、情報管理をしなくても目標の売上を達成し続けることができるのであれば、インサイドセールスとの連携など考えなくてもいいのかもしれません。

ただ、多くの企業にインサイドセールス導入の支援をしてきた経験から言えることは、こうした態度が一変することがあります。典型的な例として、1つはデータべースとインサイドセールスを営業活動に取り入れたことで売り上げが飛躍的に伸びたとき。もう1つは、今までのやり方で行き詰ったときです。

実際に過去のクラアイントでこんなことがありました。インサイドセールスなど全く関心を示さなかった営業担当者が前任者から顧客を引継ぎ、その顧客情報がSFAに事細かく残っており、さらにはインサイドセールスがフォローをしてくれていたおかげで、ほぼ何もせずに大型案件を受注しました。そして、その営業担当は一躍トップセールスに。これを機にSFAに履歴を細かく残すようになり、頻繁にインサイドセールスメンバーと話をする姿が見られるようになりました。

後の例を引き起こすことは得策ではありませので、1つ目のような事例をいかに作り、フィールドセールスに情報管理の効果を体験させることが非常に重要です。

そのためにも単なる結果だけではなく、プロセスも評価できるよう情報を管理し、それを数字で見せ、会社全体を巻き込んでいくことがインサイドセールスで成果を上げていくためには必要不可欠なのです。

 ゆえに情報管理にまつわるインサイドセールスリテラシーを高めていくことが、成功の秘訣でもあるのです。

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