【vol.99】インサイドセールスリテラシー、再び(2)マーケティングリテラシー

メールマガジン

インサイドセールスで成果を上げることができるか否か-。

 その鍵を握るのは5つのインサイドセールスリテラシーです。インサイドセールスリテラシーとは、インサイドセールスを活用する能力のことですが、本シリーズでは、その5つのリテラシーについて解説して参ります。前号は、「情報管理にまつわるリテラシー」でした。大量かつ煩雑になり易い顧客情報をどう効果的に管理するのか、管理項目の設定のポイントやデータの鮮度を保つためのコツなどお伝えしました。

 さて、シリーズ3回目の今回は「マーケティングリテラシー」です。

 

■マーケティングリテラシーとは

 一般的にマーケティングリテラシーというと、マーケティング情報の重要性やその役割を理解し、分析の結果から顧客ニーズを読取ったり市場の広がりを予測したりしながら新しい価値を創造していくスキル、ノウハウを指すようです。

(博報堂コンサルティングニュースレター 第20号から一部引用)

 また、一般社団法人日本マーケティング・リテラシー協会代表理事の森田氏は当協会のホームページで「消費者の購買心理の発見や、新しいターゲット軸の発見などにより売上向上やシェアアップなどの成果 、あるいは新しいコンセプトの構築、新商品企画などによる新市場の開拓など成果を生むには、データをどう読み取るかの感性が付加されて初めてその価値を成す」と言っています。(原文を要約)

 本シリーズの序章(Vol.97)では、インサイドセールスリテラシーとして、「2.自社のサービスの特徴やメリットを理解し、顧客のニーズとのマッチングができる。(適切・的確なターゲッティングと仮説検証)」ことが重要であると述べました。

 実は、改めて「マーケティングリテラシー」とはなんぞやを調べてみたとき、ほぼ弊社でいうそれと同じであることに驚きました。

 といいますのも、弊社では理屈があってインサイドセールを実践してきたというよりも、実践した結果を後から理論づけるとこうなったということが多く、インサイドセールスリテラシーとした5つのリテラシーもすべて実体験から得たことだったからです。

 

■インサイドセールスにおける企画(セールスシナリオとプロモーション設計)

 インサイドセールスは電話やメール、WEB、セミナー、冊子や資料などを用いて直接顧客に会うことなくニーズを顕在化させ契約へと導くための手法であり仕組ですが、それらの媒体の特性を踏まえ最大現のパフォーマンスを出せるようそれぞれの活動を企画することになります。

 メールであればメールプロモーションですし、電話を媒体とするならばコールプロモーションになります。ここ数年、導入が進んでいるMA(マーケティングオートメーション)やデジタルマーケティングといった分野との連携も含みます。

 もちろん、これらのプロモーションは媒体毎に分断されるものではなく、それぞれのチャネルやプロモーションの結果や情報が共有され、最終的なゴールに向けたシナリオの整合性が取れていることが非常に重要かと思います。

 何をどの市場にどう売っていくのかということについては、企業の事業方針や製品戦略に基づきブレイクダウンしたものがインサイドセールス部門に届き、目指すべきゴールやミッションは定まっているはずです。

 その上で、ゴールまでのプロセスを描かなければなりません。いわば目的地までの大まかな旅程のようなものです。まずこれがインサイドセールスでいう企画の1つです。

 そして、セールスシナリオに基づき実行される、1つ1つのアクション(アプローチ)の企画がプロモーション設計です。セールスシナリオが旅程なら、プロモーション設計はその過程で具体的に何をどうするか、今日のアクティビティをプランニングすることです。つまり、いつ、だれに対して、何を、どうするのかを詳細に定めていきます。

 セールスシナリオについても、プロモーションにしても、ターゲッティングと仮説検証は必須です。セールスシナリオは1つと限りませんし、プロモーションにおいては設計した分だけ存在します。

 旅行の例を三度持ち出せば、目的地へたどり着くつくルートは複数あり、そしてそのプロセスにおいてアクティビティは無数なのです。

 では、何を根拠にそれら企画を行うのか。それはひとえに、ターゲッティングと仮説検証に集約されるのではないでしょうか。

 例えば、新規の契約数を前年度の150%を目指すという大きな方針があった上で、インサイドセールスがそれに寄与するために、具体的なセールスリード(SQL:セールス・クオリファイ・リードともいう)を年間に1000件創出する必要があるとします。

 ではその1000件のセールスリードを創出するというゴールをインサイドセールス部門で定めたならば、そこに行き着くまでのセールスシナリオを描きます。まずは誰にアプローチするのか、どの顧客群が最も効果的なのか。そこから多くの場合スタートします。

 具体的には、セールスリードが出現しやすいと思われる営業(フィールドセールス)が過去に取りこぼした案件へのアプローチや、Webでの資料ダウンロード者や展示会セミナーでのアンケート回答者などへのアプローチが浮かぶことでしょう。これらはそうした情報=データが社内に存在しているということが前提になりますが、もしそのようなアプローチデータがない場合はそれを入手するところからセールスシナリオは描かなければなりません。

 新しい顧客リストを作るために、展示会へ出展することであったり、Webのコンテンツを刷新したりすることかもしれません。あるいはデータを活用できる状態にクレンジグすることから考えなければならないかもしれません。こうしたプロセスがセールスシナリオです。

 そして、このプロセスの中の1つ1つのアクション、取りこぼし案件に対するアプローチの仕方はどうするのか。事前にメールでアプローチするならその内容はどうで、いつメールを送るのか。その送った後のフォローを電話で行うのであれば、コールでのヒアリング項目は何で、クロージングする材料は何にするのか。さらには、具体的なトーク展開やクロージングトークなども設計するのがプロモーション設計です。

 これら、いずれの企画においても、よりどころとするのは情報です。既に手元にある情報を分析し、そこから何を読み取るのか。そこにはやってみないとわからないという危うさは常に付きまとうものの、一定の仮説と検証をすることでクオリティの高まりがあります。

 そして、その何をするかは、ターゲッティングによって変化します。

このターゲッティングは実際にやること(=アクティビティ)以上にその後の結果を作用すると言っても過言ではないでしょう。

 このターゲッティングでさえ、過去の実績データなどをベンチマークにしながら、よりパフォーマンスの高い対象先を選定するためには、定量的なデータ分析は必要不可欠です。

 ですから、先の日本マーケティングリテラシー協会の森田代表理事の言葉を借りれば「データをどう読み取るかの感性」が必要であるし、博報堂コンサルティング社のいうところの「マーケティングの意味とその重要度を理解し、腹落ちしていること」こそがマーケティングリテラシーであり、それなくしてインサイドセールスが効果を発揮し得ないのはご理解いただけるのではなかろうか。

■マーケティングリテラシーを高めるには

 よって、マーケティングリテラシーが特に必要とされるのは、インサイドセールス部門においてセールスシナリオやプロモーション設計を司る企画担当である。組織によっては、セールスシナリオを描くのはインサイドセールスのセンター長かもしれないし、マーケティング部門の人間かもしれない。また、プロモーション設計については、プランナーと呼ばれる人たちが担当することになるだろう。

 実践前の企画の善し悪しが結果を左右するのは当然なのだから、いかにいいシナリオを描くか、いかに効果の高い設計をするかが議論になる。

 そして、それはデータを読み取る力であり、その重要性をよく理解していることであった。

 この2つにやや話を集約して、マーケティングリテラシーを高めるためにすべきこととしては、3つ挙げておきます。

  ①とにかく膨大なデータに接する

 ②常に外からの情報のインプットを行う

 ③根拠を探る癖をつける

 1つ目の「とにかく膨大なデータに接する」というのは、効率性を求める方にとっては期待外れな内容かもしれません。しかし、結局のところ多くのデータにいかに触れたがその見識を広げることになり、確証にも似た自信にもつながります。

 弊社ではクライアントの顧客データやコールプロモーションの1つ1つの履歴など、種々雑多な情報も含めてかなりの数を見ています。そうすると実際に自分がコールをしていなくてもどのような会話が繰り広げられているか、顧客がなぜこのようなコメントを発言するのか、どのような顧客にその傾向があるのかなども見えてきます。

 また2つ目の「常に外からの情報のインプットを行う」というのは、新聞やビジネス雑誌などから世の中の動き、流れをつかむためです。その際、じっくり読み込む必要はなく、一面や目次、電車の中吊り、サイネージの広告などで十分かと思います。もちろん、業務に直結することは深くその記事を読み込み理解する必要がありますが、とにかく情報の引き出しを持っていないと、目の前の大量のデータを見てもそれは単なるデータでしかなく、そこから透けて見えてくる何かをつかむことはできません。

 3つ目の「根拠を探る癖をつける」は、平たく言えば「なぜ?」と必ず疑問を持ち、その裏付けをデータから取るようにすることです。展示会フォロープロモーションの結果が悪かったとしましよう。では、それはなぜか。データを見ていくと、すべてが悪いのではなく、相対的に悪かっただけで、一部の顧客においては非常に有効に働いたということもありますし、アンケートの内容がその後のフォローコールとリンクしていなかったとか、こちらの想定がやや甘かったなどわかることが多いです。結果を結果として捉えるのではなく、そこから次のアクティビティを作るための材料を探るべく、結果の根拠まで見るようにして初めてデータ分析をしたということになるでしょう。

 いずれも、マーケティングリテラシーを高めることは一朝一夕にはいきません。そして、非常に地道な作業の連続かもしれません。しかし、この緻密さが後の大きな成果を手繰り寄せるためには避けて通れないと思っています。

 全てのヒントはデータにあり。これを胸に、マーケティングリテラシーを是非高めていただきたいと思います。

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