【Vol.100】インサイドセールスリテラシー、再び(3)営業リテラシー

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インサイドセールスの鍵を握る5つリテラシーを解説する本シリーズ4回目(序章含む)は、「情報リテラシー」、「マーケティングリテラシー」に続き「営業リテラシー」です。

本シリーズの序章(インサイドセールスの肝vol.97)では「営業部門のリソース、体制、カルチャーを理解した連携ができる」ことをインサイドセールスリテラシーの1つとして挙げています。いうなれば「営業リテラシー」といったところでしょうか。今回はこの「営業リテラシー」を解説して参ります。

■営業リテラシーとは

 まず、言葉の定義ですが、これまで同様にリテラシーの意味を「営業」という言葉にくっつけると「営業に関する基本的な知識があり、活用することのできる能力」となります。これでも概ねイメージは掴めるかと思います。

 では、そもそも営業とは何でしょうか。

 一般的には「営利を目的として業務を行うこと」であり、「また広義には顧客との折衝を担当する部門を営業という」となります。

 また、営業という言葉と同義語で使われる「セールス」はどうでしょうか。デジタル大辞泉によると「販売すること。特に、外交販売。」としています。つまり客先へ出向いて契約や販売行為をすることになるでしょう。

 日本実用出版社(2006-2009年刊行)の季刊誌「ザッツ営業」の編集長 安達 正志氏は、とある取材で営業リテラシーをこう解説しています。

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営業の本質とは何かを改めて考えてみると、市場で顧客と対応することである。ゆえに「営業」はマーケティングに始まり、市場の接点での販売・アフターフォローがあり、得意先の問題を解決する活動が「営業」である。

 そして、肝心の営業リテラシーとは、基本と言われるような礼儀作法からセールススキルといった商談のやり方などがあり、そしてそれらを元に売れる営業パーソンになるための応用力のいずれもが営業リテラシーである。

 そしてさらに、営業リテラシーの高め方として、キーワードは「知識(ナレッジ)」と「信頼」である。「知識(ナレッジ)」とは、営業活動を進めて行く上での必要な事前情報を指し、業種の垣根を越えて信頼され、応援されたりする存在になるには「信頼」を得ることである。

(原文要約)

 参考:『ザッツ営業』編集長が明かす営業リテラシーの高め方 (NTT西日本>最適経営のヒント 2006年9月掲載記事

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 よって、安達氏の言う営業リテラシーを整理すると次の3つである。

  ①顧客に好感を持たれるような言葉遣いや立ち居振る舞いができる。

 (セールスエッセンシャル/敬語、服装といったビジネスマナーなど全般)

  ②キーマンやニーズの把握、提案や訴求、クロージング等契約に向けた活動ができる。

 (営業センス、セールススキル/営業プロセスを理解し、適切な営業活動ができる知識や所作)

  ③追加オーダーや他の顧客を紹介されたりするなどの信頼を得ることができる。

 (セールスを越えた信頼関係の構築、人脈展開)

 これらは職種や部門としての営業、弊社でいうところのフィールドセールスに該当する内容でしょう。もちろん、インサイドセールスを成功させるリテラシーとして該当することです。さらにインサイドセールスリテラシーとしては、次の点をプラスしていただきたと思っています。

 ④営業組織を上手に活用できる、または連携できる

 (フィールドセールスとインサイドセールスの適切な役割分担及び連携)

 本シリーズの序章でインサイドセールス形態についても記載しましたが、インサイドセールスが全て分業スタイルとは限りません。しかしながら多くの法人営業の場合、このスタイルを採用することが多く、組織として高い営業効果を狙うのであれば4点目は必要不可欠なのです。

■インサイドセールスはマーケティングかセールスか?

 さて営業リテラシーの定義が長く書面を割きましたが、インサイドセールスはマーケティングに位置するのであるから①~③についてはフィールドセールスほど高いリテラシーを求められないのではないかという議論もあるでしょう。反対に、もし①~③の内容をインサイドセールスに求めるのであれば、もはやマーケティングではなくセールスではないかと感じるかもしれません。

 インサイドセールスが今ほどビッグワードになる前、「インサイドセールスはマーケティングかセールスか?(どちらの部門に設置するべきか?)」とクライアントに問われたことが、しばしばありました。

 これについては、組織として運営しやすい方、効果が出やすい方でよいというのが回答でした。後に改めてこの問いに対する解を求めいろいろ調べてみたところ、1つの事象が浮かび上がりました。

 日本は、接点づくりからアフターセールスまでの顧客に関する一切の対応を営業部門が担うことが多く、しかもそれがフェイスtoフェイスで対応する場合やアカウント制の場合は、営業(=セールス)と認識するようです。

 一方、マーケティング先進国である米国などは、セールスとはセールスプレゼンテーション(=提案)以降のプロセスを担うのが営業(=セールス)であり、それ以前のセールスプロモーション(販促)に関するプロセスはマーケティングの範疇としています。

 つまり、前者の理屈に添えばインサイドセールスは営業であり、後者の定義に従えばマーケティングに位置付けられます。その証拠として、弊社へのインサイドセールに関する問い合わせは、日本法人のクライアントから営業部門(営業推進なども含む)、外資系クライアントからはマーケティング部門と見事に分かれていました。

 昨今のMAやデジタルマーケティングの隆盛により、この状況はだいぶ変わってきました。インサイドセールスはマーケティング視点が必須ではありますが、具体的なアプローチとしてはセールスにかなり近いため、いわゆるフィールドセールスが有するような営業リテラシーも高めておくことは、非常に効果的であるということです。

まとめると、組織としての戦略や戦術はマーケティング視点が重要だが、顧客対応については営業的要素が重要ということである。

 ■営業リテラシーを高める

 では、その営業リテラシーをどうやって高めるのかー。

 前出の安達氏のコメントにあるように、①のセールスエッセンシャル的なものは型のようなものであり、学べば誰でも比較的簡単に身に付くものです。

 ②のセールススキルや営業センスは経験や先輩たちの姿を見て学ぶ、あるいはセールスに関する知識(ナレッジ)を継続して習得していくという安達氏の意見に異論はありません。

 ただ、インサイドセールスの場合はどこまでの営業プロセスを担うかによって②の内容の深さや少し求められるレベル感は若干変わってくるでしょう。そして、それらの営業リテラシーの習得が属人的な力量や資質に頼ることなく、体系化された育成プランや教育手段によって高めることがポイントであり、可能であると考えています。

 そのためには、営業活動(とりわけ法人営業)に必要なスキルと知識の定義をまず行い、いくつかのプロセスに分けて知識やスキルを提供し、小まめなチェックとフィードバックが欠かせません。

 ③については、①と②の結果によって得られるものではないかと思います。ゆえに具体的な方法と言うよりは、きっちりインサイドセールス部門も組織の一員として各対応品質を上げていくことに他ならないと思います。

 そして④については、インサイドセールスからのタイムリーな情報提供(インサイドセールスの活動状況や顧客状況の報告)とフィールドセールスからのフィードバック(インサイドセールスからのパスアップ案件へのフィードバック)が何よりも効果的です。

 お互いがお互いを知り、切磋琢磨し、高め合うことができれば組織としての連携が深まり、よりよい活動になることは自然の流れであると思います。

 そのためにも、インサイドセールスは積極的にフィールドセールスからの評価や意見を求め日々の活動へ反映し、柔軟に対応していくことです。一方、フィールドセールスは各営業担当へ顧客対応をまかせっきりにすることなくリードの対応状況をマネジメントし、いつでも結果が返せるようにして置くことです。

 -END-