【創刊号】 特命:顧客管理とデータベースで柳の下のドジョウを育てよ!

メールマガジン

 本年初のテーマに入る前に、メールマガジンも新しくなりましたので、改めてインサイドセールスについて簡単にご説明させていただきます。

 まず言葉の意味ですが、「Inside(インサイド)=内側の」と「Sales(セールス)=営業活動」の2つの単語からなる造語でして、非訪問による営業部隊及びその営業活動を意味します。具体的な活動としましては、電話、メール、FAX、Web、DMなどの手段を駆使し、顧客へのアプローチを継続的に行い、見込客化することです。弊社では、このインサイドセールスに対し、直接顧客へ訪問し商談やクロージング活動を行なう営業をフィールドセールスと呼んでいます。このインサイドセールスはフィールドセールスとの連携により、売上拡大を目指しています。

 またインサイドセールスの特徴的な側面として、担当顧客を特定することはなく、企業全体としての面的な関係構築を軸にした営業活動を基盤としているため、より多くの顧客対応ができ、マーケットのカバー率を上げることができます。このためインサイドセールスには、営業部門はもちろんのこと、マーケティング部門やサービス部門などを含めた顧客とのあらゆる接点履歴や各種購買、問合せ情報等を共有しデータベース化していくことが必要不可欠な要素となっています。

 さて、いよいよ本題に入りますが、まさしくこのような顧客データベースを3年前に構築し、現在では約4万件の顧客データを管理しているお客様の事例を今回はご紹介しましょう。

 このお客様はケース類の製造販売を行っており、特注品の製造を柱とする優れた技術をもっています。営業人員は4名で、決して潤沢な人員構成とはいえないながらも何とかこの4人でこれまでのビジネスを作ってきましたが、この先を見据え組織的な工夫が必要と考え、弊社の顧客管理手法を導入されました。社内に点在していた顧客データを一元化し、日々営業が対応した対応履歴も記録として残すことを続けてきました。
  しかし、社長には釈然としない気持ちがありました。それは、「履歴を残して、営業活動が見える化できたが、これをお金に換えていくことをしていかなければこのデータベースの本当の意味、本当の価値には繋がらない・・・。」と。

 そこで、この4万件のデータの活用について再び弊社がお手伝いすることになったわけです。久しぶりにお会いしたスタッフの皆さんに以前と変わらぬくったくのない笑顔で迎えられ、現状をヒアリングしました。実際のデータからも、営業社員の皆さんが多忙な合間を縫って、せっせっと履歴を残している姿が手に取るようにわかりました。しかしながら、運用ルールの矛盾点や個々人の解釈のバラツキが生じており、さらに社長が言うこの先のお金に換えていくための活用という観点では、イメージが浮かんでいない様子でした。

 一通りのヒアリングを終え、私たちが申し上げたことは、この4万件の顧客データをゴミにするか資産にするかのちょうど瀬戸際にいるということです。しかしながら、この4人でこの4万件の顧客に対してアプローチしていては、何年もかかってしまいます。もちろんこのご時勢で営業を増員することは論外です。そこで営業以外のメンバーでも、受注前の見込み客づくりまでを行うインサイドセールスについてお伝えしました。

 ところが、営業以外で本当に実現可能か最初は半信半疑のようでした。インサイドセールスはただ闇雲に電話を架けたり、DMを送るのではなく、蓄積されたデータや成功事例を分析し、それに基づいた営業ストーリーを企画し、展開するものであること。そして何よりも個人の経験論やテクニックに頼るのではなく、これまで蓄積してきた履歴があれば実現できることをお伝えしました。

  社長は、まさしく今必要なのはこれだと膝を叩きました。経営的にも非常に厳しさを増している今日、全員が営業部隊であると呼びかけてきた社長にとって、インサイドセールスはまさに今、トライすべきテーマでした。

 まずは、営業部のリーダーである課長とともに営業ストーリーの企画が始まりました。ところが、いざプロセスにのっとった企画となるとどこから手をつけたらいいのか、何をしたら良いかわかりません。そこで、「ヒントは過去の事例にあるはずです。いくつか最近受注した案件のパターンを教えてくださいませんか。」とお願いすると、静まり返っていた会議室がざわつき始めました。いくつか出た事例を掘り下げていくと、ある仮説が浮かびあがってきました。そして、今受注できている事例はほんの一握りであって、まだまだ展開できる格好の材料だったことに気づいたのです。

 そして、この題材をもとに、対象となる企業をリストアップし、そこへ窓口となるキーマンの確認から、ポテンシャルの確認をインサイドセールスで行うことになりました。このときは最初の企画ということもあり、実行は弊社のスタッフで行いましたが、その結果はといういうと、仮説の通りニーズがあり、見積希望や問合せをいただくことができたのです。もちろんここまで営業は一切実務レベルでの顧客対応はしていません。

 このやり取りをみていた社長は「これは顧客管理とインサイドセールスで柳の下のドジョウを育てることにほかならない。これを是非うちでもやっていきましょう。」と。これは今までやってきた顧客管理の運用をもう一度見直し、過去の蓄積されたデータを使って、お金に換えることに違いないと。

 さあ、となれば、実行あるのみ。社長からの特命のもと、にわかにインサイドセールスメンバーが召集されました。今年度入社での新人の営業アシスタントの女性社員を中心にベテランの製造部員、管理部門のスタッフによる総勢8名のチームです。皆営業経験はありません。しかしながら、企画のっとり、本業との時間をやりくりしながら、実行していきました。 そして、企画は第2弾、第3弾と続き、徐々に営業とインサイドセールスの連携が生じるまでになりました。

 これにより今まで営業が対応していた顧客数をはるかに上回る対応が可能になり、取りこぼしていた潜在的なニーズを拾うことができるようになってきました。そして、意外な副産物として、お客様の声を直接聞くことがなかった製造部や管理部門の社員にも、リアルな顧客の反応を目の当たりにし、本業にもいい緊張感が生まれているということです。

 営業だけが営業じゃないインサイドセールスを、体感体験し、新しい営業の仕組みとしてのチャレンジは今も続いています。