【Vol.78】商品知識というアリ地獄にハマらないために

メールマガジン

 インサイドセールスでは、類似した傾向を持つ顧客や同様のステ―タス
にいる顧客を、塊(かたまり)=顧客群としてセレクトし、その顧客群に
合わせたヒアリング、ゴール設定をプロモーションとして企画し、実践
します。

 主に顧客のステータスは、一定の条件によって定義されていますが、
その顧客ステータスとリンクするように、実施するプロモーションの内容
も概ね決まっています。

 こうして顧客の状況に合わせながら、段階的かつ継続的にアプローチを
行い、顧客との関係醸成とセールスリードの創出をトータル的に行うこと
が、インサイドセールスにおけるナーチャリング=顧客醸成です。

 顧客との関係も概ね構築でき、いよいよ具体的なニーズを把握していく
段階になると、その企業が提案したい商品やサービスの知識も必要になってきます。

 インサイドセールスでは、特別な営業経験や商品知識が必須ではないと
伝えてきました。勿論、ゼロではマズイのですが、それありきの人選や
オペレーションではないということです。

 とはいえ、顧客のニーズと提供できる商品とを照らし合わせて、
合致するサービスがあれば当然、インサイドセールスでも訴求をします。

 この訴求がインサイドセールスのナーチャリングにおいてもとても重要
で、それが上手にできると、当然、確度の高いセールスリードが創れる
ことになります。

 こうなると、「やっぱり商品知識や営業経験がモノをいうのではないか」というご指摘をいただきそうですが、この期に及んでも、「ハイ」とは
言えない理由があります。

 ということで、今月は、知識は必要ですが、その知識の沼に陥らないようにすることの意味、特に商品知識はアリ地獄と比喩する理由をお伝えしたいと思います。

 
その前に、インサイドセールスの実務メンバーに、どのようなもしくは
どの程度の知識が必要かという点をおさらいしたいと思います。

 みなさんのビジネスが、BtoBかBtoCかでまず必要な知識のベースが大きく異なります。

《BtoBの場合》

①会社組織に関する理解
②組織における意思決定プロセス
③ビジネス係数
④ビジネス法務(個人情報保護、特定商取引法など)   
⑤営業フロー、営業プロセス
⑥商品知識
?その業界で知っておくべき技術等の専門知識(業界による)
⑧競合情報  

このくらいでしょうか。

 BtoCの場合は、相手が一般消費者なので、①は不要でしょう。
②は個人単位での意思決定プロセスに変更して理解してもらうと
良いと思います。

 ③は、これもBtoB特有かもれしれません。企業におけるお金の
流れを理解していると、②の内容を理解するのが容易になります。
また企業における課題を理解する上でも非常に役立ちます。 

 ④は、膨大な個人情報・顧客情報を取り扱い部門として、またその当事者としてぜひ、実務メンバーに理解してもらう必要があります。

 また、インサイドセールスが実際の販売までを行わないとしても、
商談のきっかけを作る上で、消費者が不利になるようなアプローチを
行わないよう、やはり教育として理解してもらう必要があると思います。

 ⑤は営業連携の観点でBtoC・BtoBいずれも必要な内容です。

 ⑥~?についても、必要な知識として共通ですが、その範囲や
深さについて要注意です。この⑥~?が知識の沼、もっというと
アリ地獄化しやすいポイントです。

 ⑧は、①~7がある程度、理解できた上でぜひ、インサイドセールス
でも理解を進めて欲しい内容です。自社のことだけではなく、
競合他社を知らないでは、片手落ちです。

 ここまでで、インサイドセールスを行う上で営業と何ら変わらない
知識を求められるとお感じになった方も多いかもしれません。

 そうです、最初からのその知識を有しているかどうかは問いませんが、
業務をする上で必要なレベル感でイメージできるようにすることは
非常に重要です。

 また、どうしても⑥や?の知識の習得に重きが置かれ、
顧客を知る上で重要な①~③や⑤が意外と軽視されている点が
残念でなりません。

 これまで支援してきたクライアント企業様でも、
商品知識や自社のセールスポイントばかりを説明したかる傾向が
あります。

 そして、⑥や?ばかりを深く説明し、内容がどんどん難しく
なるために、実務担当者はついていけないと感じてしまうのです。

 大事なことは、正しく伝えることよりもまずはイメージを掴む
くらいの理解を促すことです。

 顧客との会話で必要なレベルは、顧客の言わんとすることを
理解することです。何の話をしているのか、どの部分を指している
のか、それが理解できなければ、会話が成立しません。

 細かい商品知識や専門知識は、商談化した顧客には必要です。
クロージングを迎える顧客には、商品やサービスに関する細かい
質問も飛び交います。

 しかし、顧客のニーズを把握し、商談のきっかけを作る段階
では、詳細な商品の知識よりも、顧客がなぜそう思うのか、
どうしてそうしたいのか、その背景となることを理解できる
知識が必要なのです。

 とりわけ、BtoBではキーマンはビジネスパーソンです。
ビジネスパーソンが日常置かれている環境は、まさしく
ビジネス=経済環境の渦の中にいます。今、世の中では何が
起こっているのか、企業では何が求められるのかを理解することが
ニーズを理解する大前提です。

 そこを知らずして、いかに商品知識を蓄えたとしても
それは全く意味をなさないのではないでしょうか。

 そして、その時代のニーズに合わせて目まぐるしく変わる
商品のディテールをどれだけ覚えても、キリがありません。

商品カテゴリーや利用シーンを理解するのはとても重要です。
しかし、細かいスペックや商品名はあまりインサイドセールスでは
有効ではないと思います。

また、IT業界や技術に関する業界でありがちな専門知識は、
調べても、調べても到底素人ではかなわない領域まで続く、
深い沼のようなものです。

 ですので、インサイドセールスではイメージが出来たら
オッケーとしています。でないと、わからない知識の沼に溺れ、
もがけばもがくほど深みにハマるアリ地獄に陥ってしまうからです。

 それより、インサイドセールスは、知識を専門的に習得するよりも
先に行わなければならないことがあります。

 それが、BANT条件をそろえることです。どんなに知識を
蓄えても、このBANT条件がそろわなければ、セールスリードには
つながりません。ですから、知識というアリ地獄にハマる前に、
このBANT条件をつかむ力を身に付ける必要があるのです。

 次回は、BANT条件をつかむ力を身に付けるために、
行うべき教育・研修のコツなどについて解説してまいります。