【Vol.81】One to One コールの効果とその意味

メールマガジン

 最近、「インサイドセールスセンター」と「コールセンター」を明確に言い分ける傾向が強まっているように思います。

 どちらも”電話”というチャネルを活用する点では同じなのですが、
インサイドセールスセンターと表現するとき、電話はもちろんですが、
それ以外のメールやWebといったもっと広範囲なチャネルを活用する
ことが前提になっているようです。

 また、コールセンターというと、受付業務などのインバウンド主体の
ニュアンスが強く、仮にアウトバウンドを行っていても、アポ取りやキャンペーン案内などの一過性で、かつプロセスよりも結果重視の単一的なプロモーションをするセンタというイメージが合うようです。

 とはいえ、目先を変えるために、従来のコールセンター的な立ち位置で
あっても、インサイドセールスセンターと銘打って再リリースする場合も
あるようです。それが良い悪いは特にありませんし、事実まだまだ混在する分野ですので、どちらが正しいとかということもないと思っています。

 ただ、どうも世の中の見解は、少しずつ変わってきています。

 インサイドセールスへの理解や関心が高まるにつれて、そうしたアウト
ソーサーを求める側もインサイドセールスセンターとコールセンターを
明確に区別し始めています。

 実際に弊社へお問い合わせいただくクライアント企業様の声の多くが、
「コールセンターではなく、インサイドセールスセンターを作りたい」とか、「テレマーケティングのようなアポ取りではなくて、インサイドセールスの業務をお願いしたい」というのです。

 そんな中、営業部門のニーズとして高まってきていることの1つに
One to One コールがあります。

 One to One コールとは、「One to One マーケティング」+「コール」の造語で、顧客一人ひとりに合わせて展開する電話ということです。先に結論めいたことを言えば、インサイドセールスの強みは、このOne to One コールに集約されるように思います。

 今回は、このOne to One コールの効果とその意味について解説してまいります。

 弊社では、インサイドセールスにおける顧客醸成プロセスを大きく3段階に分けています。

 【第1フェーズ】
まだ顧客接点が取れていないなど、関係が薄く、これからキーマンの
特定をし、情報提供などを行いながら顧客に認知してもらう段階。

この段階の顧客醸成のゴールは「コンタクトラインの確立」です。

 【第2フェーズ】
提供したいサービスに関するキーマンが特定できており、顧客から開示
された情報により課題やニーズ、またはマッチする商材が判断できる段階。

  この段階の顧客醸成のゴールは「ニーズ・商材の判定」です。

 【第3フェーズ】
顧客毎の具体的なニーズに合わせて、提案の機会を作る段階。
また、顧客が期待する要件やタイミング、選定ポイントなどを
把握し、商談化を進められるよう、フィールドセールスの動きや
方針も加味した上で、個別アプローチをする段階。

  この段階の顧客醸成のゴールは「商談化(またはセールスリードの確立)」です。

こうした段階的アプローチを展開するインサイドセールスで、One to One コールが適応されるのは主に第3フェーズですが、第2フェーズでも行うことがあります。

 では、One to One コールとは具体的にどのようなことを行うのかー。
 通常、弊社でいうところのインサイドセールスでは、顧客を塊(=同一
の傾向をもつ顧客群)として見ており、一定のセグメントなどにより実施するプロモーションが括られます。

 その場合、同一傾向の顧客特性毎にプロモーションを作るので、
予めコールの展開やシナリオは用意されています。

 一方、One to One コールは、営業が持っている顧客情報のほか、管轄となるフィールドセールスと営業的な方向性やリソースなどを踏まえてゴールを設定しますが、プロセスは特に決められておらず、オペレーターに任せられています。

 インサイドセールスは決められたゴールに向けて、営業情報はもちろんのこと企業情報や過去のコンタクト履歴、既に判明しているパーソン情報やプロファイル情報等を総合的に活用し、ゴールまでのストーリーを組み立てます。

 ですから、通常のプロモ―ションライクなコールよりも時間がかかりますし、トーク展開もヒアリング内容も、言い回しも、自らすべて考えるので、それなりの経験やスキルを要します。
 ここに挙げたやり方は、あくまで弊社が実践してきたOne to One コールなので、これがすべてではありません。

 肝心の結果ですが、その効果たるもの、フィールドセールスから感心されること、しばしばです。
 これまでフィールドセールスがアプローチしあぐねていた顧客から、詳細なニーズが聞き出せ訪問につながったり、箸にも棒にもひっかからないと言っていた顧客なのに、キーマンが判明し、情報提供の許諾を得て、関係構築のベースができたりと、その効果は通常のプロモーションの比ではありません。

 ならば、すべてOne to One コールにしたらよいのでは・・・とお思いになるでしょう。

 しかし、その答えは、ノーです。

 顧客を知り、顧客の状況に合わせて展開するという考え自体は、インサイドセールスの根底にあります。それを考え方のみならず、やり方おいてまで展開させるには、そもそも求める人材要件や育成の仕方も異なってきます。

 そして、それだけの工数を掛けるにふさわしいポテンシャルや状況にある顧客へ展開しないと、非効率になり、コスト倒れにもなりかねません。

 インサイドセールスは多くの顧客をカバレッジして、初めてスケールメリットが活かせます。そうした中の一つの方法論としてOne to Oneコールがあるにすぎません。

 One to Oneコールは、プロモーションライクな施策では打開しない状態続いている場合や、個々のニーズがはっきりし、個別対応が求められる場合にこそ、その効果を発揮するのです。

 ただし、最終的には、どれだけ顧客を理解し、顧客に合わせた対応ができるかが鍵を握ることは、何もOne to Oneコールに限ったことではありません。

 インサイドセールスはそうして、出来る限りの可能性を探りながら、
いつでも顧客とフィールドセールスをつなぐ、まさに架け橋を作ることが
インサイドセールスであると考えています。

 よって、究極のインサイドセールスはOne to One コールと言えるかもしれません。
それは、これまで蓄積した情報や営業リソース、商品力、過去の接点履歴、そして自らの経験などインサイドセールスが持てる力をすべて発揮するのがOne to Oneコールだからです。

 先日、某クライアント企業にて、One to Oneコールに初めてチャンレジするスタッフに臨席指導しました。開始前は不安そうな表情でしたが、終礼時には、軽い疲労感を示しながらも、充実感にあふれた表情に変わっていました。

 One to Oneコールは、インサイドセールスの実務者にとって、自分を丸裸で試されることにもなります。だからこそ、それが顧客へ通じた時のその味わいは、何とも言えぬものなんだと思います。

 それでも、まだインサイドセールスの可能性は道半ばです。