【Vol.83】どうしたら顧客が話し出してくれるのか、 そのきっかけ作りのコツとは?(後編)

メールマガジン

さて、今月号は、前回に引き続き「どうしたら顧客が話し出してくれる
のか、そのきっかけ作りのコツとは?(後編)」ですが、まずは前編の
おさらいから-。

 前回は、”顧客に話させる機会を自らが奪っているから、顧客は話して
くれない”のが最たる原因なので、まずは相手に話す機会を与えることが
先決という話をしました。

 もちろん、これだけで、改善するとは全く思っていませんし、相手に話す機会を与えているが、会話がなかなか発展していかないという状況は私にも経験があります。

 そこで、次に考えるべきことは、ヒアリングやコールのスタンスである
というところまでお伝えしました。

 またもや、とびっきりのコールテクニックが公開されるのでは・・・
と期待していた皆さま、本当にごめんなさい。

 先日も、とあるクライアント企業で、こんなことがありました。

「上手くコールができないメンバーについては、もう、こういえばいいと
いうトーク事例を渡して、その通り言ってもらうというのはいかがでしょうか?」と企画担当から意見がありました。

 常々、弊社ではトーク事例集は渡しませんと伝えています。

 会話のベースとなるスクリプトは作成しますが、その先に続く会話等
については、オペレーションをする人間が自発的に判断して展開してい
くようにしています。そのための追加のヒアリングやリアクションなど
については、オペレーターが自分で作っていく必要があります。

 勿論、そのためのヒントは提供しますし、顧客のニーズの背景となる
様々な企業情報や組織、ビジネストレンド等を知識としても提供します。
また、それらをどうコール中で活用していくか等のノウハウも伝えてい
ます。

 しかし、どうしてもスキルが低いオペレーターは、それがなかなか理解できません。また、言われたことをすればよいという消極的な仕事の進め方をするタイプが多く、こうした人材をどうマネジメントし、活用していけば良いのか、頭が痛いところなのです。

 ですから、担当の方が再三、このことを話題にするもの良くわかります。

 しかし、それでも、相変わらず、トーク事例集を渡した瞬間に起こる
リスクを並べ、やっぱり自らが考え、顧客に向かい、自立して対応していくスタンスを身に付けることを促しました。

その理由は、自らが考え、自らの言葉で話さない限りは、そのトーク事例は何の意味がないからです。意味がないどころか、その言葉だけが上滑りし、会話とは程遠いものとなり、結局、顧客の心を遠ざけることになるからです。

一見、「顧客が話し出してくれる」という豊かなコミュニケーションを図るために、なぜスタンス論が展開されるのか、疑問に思うかもしれません。

 しかし、これがインサイドセールスを成功させる肝と確信しています。

 では、インサイドセールスの実務の真髄ともいえる、そのコールスタンスについて解説して参りましょう。
 ○PDRが考えるコールスタンスとは

 まず、コールスタンスとは何かというと、インサイドセールスの実務に
おけるコール(特にアウトバウンド)をするときの心構えというか、
立ち位置のことです。

 訪問という手段を用いないインサイドセールスにとっては、双方向で顧客とコミュニケートできるコールは特別な存在です。それゆえ、やり方一つでその結果も変わるし、顧客からの信頼や企業ブランドにも影響する
ものです。
 だからこそ、細かいテクニック論に陥ることなく、この基本的なスタンスを持ってコールに臨むことが、オペレーターはさることながら、それらをマネジメントし、運営に関わる全員が同じスタンスでいる必要があると
思います。
 では、そのスタンスとはー。
 一、顧客のメリットを常に考える

 一、顧客に興味を持つ

 一、顧客を知ること、理解することを第一に

一、提案はしても売り込みはしない

 一、知らないことが愚かなのではなく、知ろうとしなことが愚かだ

一、ビジネスパートナーとしてイーブンな立場である

 一、目先のニーズだけでなく、将来的なあるいは潜在的なニーズに
フォーカスする

一、顧客が最適な選択をできるようアドバイスはするが、決めるのは
顧客であり、顧客が決めた結果に対して賞賛できる気持ちを持つ

 一、世の中を知り、ビジネス活動を通じ、社会に貢献し、社会との
つながり理解する
 実は、こうして明文化したのは初めてのことなのですが、概ねこの9箇条に集約されています。インサイドセールスにおいて、常にこのスタンスで顧客に向き合い、コミュニケーションを続けていけば大きな間違いはないと思っています。

 仮に流暢に話せたとしても、設定されたヒアリングが実践でき、
様々な情報が収集できたとしても、このスタンス抜きに実現された結果は、決して商談のきっかけをつくるベースにはならないと思っています。

 やや観念論に走り、失礼しました。

 つまり、顧客が話し出してくれるきっかけを作ることは、やはり顧客に向き合い、寄り添う姿勢があれば、おのずと顧客の声に耳を傾け、その声に秘められた真実を理解しようと、自然と問いかける言葉でてくるものです。

 その言葉は、顧客によっても違い、また話すオペレーターによっても違います。

 かなり以前のメールマガジンで、言霊について書きました。やはり、
言葉には力があります。その人の想いを乗せます。だから、人が作った言葉より、目の前の顧客に対して、自然に発せられた言葉が何よりも、
顧客が話を始めるきっかけになると思うのです。
 そういえば、今でも印象に残るオペレーターがいます。

 組み込みソリューションを展開するクライアントの実務支援を行ったとき、全くその業界には触れたこともなかった彼女が、たどたどしくも覚えたての技術規格の名称をなどを駆使しながら設計者のニーズをヒアリングしていました。

 見たことも聞いたこともないことでも彼女は1つ1つ、顧客から得る言葉を紐解き、理解を深め、新しく知ったことに対して目をキラキラさせながら、また次の顧客へ展開していました。

 その小柄な後ろ姿から聞こえる声は、決して流暢ではありません。
専門用語を並べた業界に精通した人のような会話でもありません。
しかし、彼女は顧客のニーズをきちんと自分の言葉で確認しながら、
顧客の理解を深めている姿がありました。そして、時に笑いが起こり、時に真剣に顧客と会話を続ける声が聞こえてきました。

 私たちは、インサイドセールスとはそいうものだと思っています。
その先に商談という大きなビジネスチャンスがあるのではないかと思っています。