【Vol.102】インサイドセールスリテラシー、再び(5)メディアリテラシー

メールマガジン

インサイドセールスリテラシーの最終回は、「メディアリテラシー」です。

 インサイドセールスの成否の鍵を握るリテラシーとして毎回どのような言葉で表現しようかと結構迷いながらセレクトしてきたのですが、今回のメディアリテラシーについては比較的迷いがない言葉でした。

 といいますのも、メディアリテラシーとは、既に放送分野やいわゆるマスメディアなどの世界ではごくごく一般的に使われている言葉で、その解釈をベースに考えても十分インサイドセールスにも共通する視点があったからです。

参考までに、総務総の「放送分野におけるメディアリテラシー」として開設されているページを紹介しておきます。

総務省:放送分野におけるメディアリテラシーhttp://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/hoso/kyouzai.html

  今回は、インサイドセールスにおけるメディアリテラシーなので、少し一般的なメディアリテラシーと異なる部分がありますが、まずは基本となるメディアリテラシーをおさえておきたいと思います。

  Web辞書などで調べてみると、概ね次の2つの解説になるようです。

 1)コンピューターや先端的な情報通信機器を使いこなせる能力。メディアスキルや情報リテラシーと同義語。

 2)さまざまなメディアに対して、そのメディアが伝える情報、価値観など主体的に解読する力。またメディアが発信する情報を評価し、批判的に理解する能力。

 現代社会では、パソコンやスマートフォンなどの電子媒体から大量の情報が流れてきますが、こうした情報を受け取るには、まずそれらの電子機器を扱えるスキルが必要です。こうしたことが1)の内容です。2)の内容はもう一歩進んで、電子媒体などで得られた情報を受け取った人が主体的に読み解く力と言っています。簡単に言えば、情報を鵜呑みにしないということでしょう。

 たしかに同じ事実であってもその事実をどう流すのか、発信者の意図が上積みされて届くものです。なかなか事実を事実として捉えることが難しい昨今ですが、いずれにせよ受け取った情報をどう読み解くか、そこには受信側の価値観や理解が伴うということでしょう。

 では、インサイドセールスにおけるメディアリテラシーとは、どういうことでしょうか。

 

  ■インサイドセールスにおけるメディアリテラシーとは

 インサイドセールスはご存知の通り、訪問しない営業活動であり、マーケティング手法です。自ずと通信手段を駆使することになります。

 よって、インサイドセールスにおけるメディアリテラシーとは、電話やメール、Webやセミナ、さらには小冊子やホワイトペーパーなどの各メディアの特性を活かしたプロモーションを設計し、それらが有機的に効果を発揮するように連動させる技能のことです。

 さて、ここで2つの要素が含まれていることがおわかりでしょうか。少し整理してみましよう。

 まず、1つめの要素として、電話、メール、Web、セミナ、各種紙媒体の資料などの特性を生かしたプロモーションが設計できるという事です。

 それぞれのメディア(チャネルともいう)の特性は、少しずつ異なります。特に電話においてはOne to Oneで直接会うということにかなり近いコミュニケーションが可能です。双方向かつリアルタイムでのコミュニケーションが可能で、ゆえに柔軟な対応と深いヒアリングが可能です。それゆえ電話はインサイドセールスの中でもっとも手間がかかり、また高度なスキルが要求されるチャネルです。

 次にメールはどうでしょうか。メールは何万件もの相手に一斉に配信することが可能です。

 同じ文面を送る分には非常に効率的です。しかし文字情報が主体で画像や添付ファイルも出来ますが、あまり多くの情報を送る場合には向いていません。また送ったメールは瞬時に相手の受信BOXに入るものの、必ず読んでもらえるという確証はありません。さらに、一度送った内容は変更できませんので、残る点はメリットでもあるのですが、配信や文面には注意が必要です。

 一方、Webはメールと同じくデジタルな通信手段ですが、画像や動画などビジュアル的な展開が容易で、多様かつ大量の情報を視覚的に提供することができます。また顧客のニーズによってコンテンツを読み進めてもらえる利点があります。しかし、Webはコンテンツの作り方や見せ方などのセンスが一番問われるメディアです。

 さて、セミナはどうでしょうか。

「セミナや展示会もインサイドセールスですか?」

と疑問を持たれるかもしれせんが、インサイドセールスは訪問をしないのであって、こちらが主催する場に来ていただくセミナは立派なインサイドセールスです。セミナや展示会などは一定の場所に集まっていただいて、1:Nの関係で情報を提供したり、時にOne to Oneで会話をしたりすることができます。

 eラーニングや動画セミナではなく、リアルなセミナであれば、雰囲気といった動作や表情などを通じて相手の状況を判断したり、こちらの熱意や印象なども伝えることが出来ます。このようにセミナは、可変性に富んだコミュニケーションが図れるものの、1:Nという関係からやや最大公約数的な対応になりがちです。しかしながら電話でもメールでも、Webでも伝わらない情報を伝えられる点はリアルセミナならではの強みです。

 紙媒体の小冊子や資料などは、これは保管に向いている点と回覧資料として提示しやすい点が一番のメリットでしょう。しかし昨今のペーパーレス化の動きの中では必ずしも保管に向いているというわけではありません。しかしながらデジタルな情報が多い中、アナログな情報は時としてインパクトがあり、一般的なメディアリテラシーが低い(電子機器の扱いが得意でない)人にはとても重宝がられます。デメリットはコストがかかるという点でしょう。制作コスト、発送コスト、情報を書き換えるコストも一番大きいといってよいでしょう。

 こうした各メディアの特性を踏まえて、どのような情報をどのような人にどのような目的で発信し、受け取った側にどのように活用してもらうのか。それらの点を踏まえ、それぞれのメディアをどう活用するのかをよく考え、プロモーションとして設計していくのです。

 さらに2点の目の要素として、それぞれのメディアによるプロモーションが分断することなく、連動した設計であるということです。

 しばしばありがちなケースとして、メールプロモーションはメールとしてのコンバージョン(開封率やレスポンス率など)を達成することしか考えておらず、配信する時期も対象先も内容も他のメディアのプロモーションと同機がとれていないことがあります。

 またセミナ企画部門はセミナ内容と対象先はインサイドセールスのアプローチと整合性は取れているものの、開催時期がその後の営業やインサイドセールスのフォローを踏まえた時期になっていないとか、詳細が決まらず告知がかなり迫ってしまうとか、本来の検討度合を上げるためのセミナのはずがいつしか開催するための準備に追われてしまうことも少なくありません。

 訪問以外のすべてのチャネルをインサイドセールスと考えたならば、それぞれのメディアをコントロールし、特性を生かしながら最終的な売り上げや商談化につながるように連動させることです。各メディアのプロモーションを統合させ、相互作用するように活用する技能が2つ目のメディアリテラシーなのです。

 

■MA(マーケティングオートメーション)の落とし穴

 オフィスにはパソコンは1人1台が当たり前の時代になって久しく、日常的にもデジタル機器に触れることが珍しくない今、より効率的にリードが作れるということでデジタルマーケティングやMA(マーケティングオートメーション)が注目を浴びています。

 個人的にも、比較サイトは便利だと思いますし、興味があれば資料や見積もりを取ることに抵抗がなくなってきたように思います。また面白いコンテンツがあれば人に紹介することもURLを送るだけという手軽さから、いいコンテンツは拡散されるという時代になりました。

 それゆえ、コンテンツマーケティングの重要性が叫ばれ、またWebは不特定多数の人にリーチできるため、さらなる効率性を求めてMAツールの導入が進んでいます。

 最近は、MAで顧客との接点を作り、そこから顧客の行動をスコアリングし、一定の基準に達したものをリードとしてインサイドセールスへ提供されることが多くなってきました。

 インサイドセールスではMAで生成されたリードを精査したり、より確度の高いリードの格上げするためにメールや電話といった手段を用いて醸成していくのですが、その際、MAでの結果やスコアリングに頼り過ぎて、本来の顧客のニーズや潜在的なニーズにリーチできずにいる状況がみられます。

 「〇〇のサイトを何回クリックしている」、「〇〇のサイトの滞在時間が長い」などは「〇〇というニーズ」があると想定する材料にはなりますが、それはあくまでも仮説であり、真実かどうかはもう少し判断を待たなければなりません。しかしながら、MAの結果があたかも真実のように扱い、それありきでプロモーションが設計されるのはあまりにも安易ではないでしょうか。

 そしてMAの結果に依存しすぎるあまり、MAで表現されなかったニーズには目もくれず、リードの鮮度ばかりを気にし、タイムリーにフォローすることがすべての如く、十分な顧客分析をしないままリードフォローに明け暮れる毎日に陥ってしまうのです。

  

■コール(電話)というメディアの重要性

 MAとの関連性の話を続けます。MAで上がってきたリードフォローをコールで行うのは常套手段です。常套手段と言いましたが、これはこれで必要なことです。

 繰り返しになりますが、やはりMAだけではわからないことが多いですし、コールによってヒアリングしていくと実はそうではなかった、ということもあります。しかしながら、コール(電話)は双方向、リアルタイムかつOne To Oneでコミュニケーションが図れる唯一のメディアでありチャネルです。

 これを単なるMAによるリード精査のためだけに使っているようでは本末転倒です。コールは非常に細やかなヒアリングと必要に応じて提案や訴求も可能なチャネルです。ヘルプデスクでは使い方の説明や技術的な対応を行ったり、またコーチングやカウンセリングができるのも電話ならではです。

 インサイドセールスは営業がより効果的に商談活動を進めるために、できるだけ営業プロセスを進めていくことが必要です。ワンストップ型のインサイドセールスでは、それこそ受注までインサイドセールスで行うのですから、無理なことはありません。もちろん商材にもよりますが、MAやデジタルなメディアにはできないことがコール(電話)では実現可能なのです。

 そのことをもう一度考えたとき、インサイドセールスにおけるコール(電話)というものをもっと緻密に考え、取り扱っていくべきものだと思います。

 また、今回のメディアリテラシーの観点で語れば、メールやWeb、セミナや紙媒体の各メディアのプロモーションを柔軟につなぐこともできるのはコール(電話)です。メールを送ったが未開封者への再アプローチやWebコンテンツを繰り返し見ている方へのフォロー、また新しいコンテンツを見てもらうための働きかけもコールでは意図も対易く出来ます。

 さらには、見込度によってトークを変えたり、セミナへ誘致したり、資料発送後や営業対応後のフォローも可能です。これらを他のメディアで行おうと思うと至難の業です。こうした非常に柔軟性に富み、顧客によってカスタマイズできるコール(電話)のパフォーマンスを上げられるよう、周辺のメディアを活用することが望ましいのではないかと思います。

 さて、「インサイドセールスリテラシー、再び」ということで、2014年5月の61号で解説した「インサイドセールスリテラシー」をリバイバルしてお届けしました。

 是非、5つのリテラシーを高め、インサイドセールスによる成果を手にしていただきたいと思います。

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