【Vol.105】インサイドセールスのデメリット

メールマガジン

 これまでのメールマガジンでは、その内容の多くはインサイドセールスの効果や成果を上げるための方法論的なものでした。

 何事もメリットがあればデメリットがあるもの。改めてデメリットを整理しておくことで対策を練ることもできますし、インサイドセールスを活用する上での最適化につながると思い、今回は敢えてデメリットを解説して参ります。

  早速本題に入りたいところですが、その前に1つ補足です。

  これから解説するインサイドセールスのデメリットは、分業型のインサイドセールスにおけるデメリットであることをお断りさせてください。といいますのは、インサイドセールスのモデルにはいくつかあり、それによってデメリットも少し異なるためです。

 そのモデルとは、主に3つあります。

①ワンストップ型 

②分業型 

③ぺリアング型

です。

  ①はインサイドセールスが顧客との接点をつくるところから(あるいは創出されたリードに対して)クロージング(成約)するまでのすべての営業プロセスをインサイドセールスが担うモデル。

  ②は顧客との接点づくりから見込化するまでのプロセスをインサイドセールスが担い、クロージングなどはフィールドセールスが行うモデル。

  ③はインサイドセールスとフィールドセールスが同一顧客に対し、同一の営業プロセスをペアで担当するモデルで、インサイドセールスのコミュニケーション手段はメールや電話、Webなど間接的な媒体に限るやり方です。

  弊社は主に②分業型のインサイドセールスを提供してきたというのもありますが、BtoBにおいては圧倒的に②のモデルが多いからです。また、インサイドセールスのデメリットとしては共通する点も多いため、まず基本の分業型のインサイドセールスのデメリットをご理解いただければよいかと思います。

  では、そのデメリットとはー。

 

 

■インサイドセールスのデメリット

 インサイドセールスのデメリットとして、正直に申し上げますと次の3つに集約されるのではないかと思います。

  ①成果が出るまで時間がかかる(短期的な成果が求めにくい) 

  ②成果が見えにくい

    ③評価がしにくい

 これを見て、さっきまでインサイドセールスを始めようと考えていた方は、その考えを取り下げたくなったかもしれません。インサイドセールスを提唱している会社がこのようなデメリットを平然と提示するのは元も子もないと呆れられたり、同業者の方にはサービス提供の妨害だと憤りを感じられたりしたかもしれません。

 しかし、これは本当のことであり、弊社ではクライアント企業様には正直にお伝えしている点でもあります。なぜならば、この点を踏まえてインサイドセールスを始めないと、痛い目に遭うからです。

 では、なぜそうなのか1つずつ解説と対策を次にお伝えします。

 

■成果が出るまでに時間がかかるインサイドセールス

 そもそもインサイドセールスを短期的な売上などを期待して導入をご検討されるなら注意が必要です。いかに短期的に注文にするか、来月の数字が足りないからインサイドセールスでなんとかしようという期待を寄せるのであれば、その期待はあっさりと裏切られるからです。

 それは、インサイドセールスは顧客を醸成することが大部分を占める仕組みだからです。

 「醸成」とは読んで字のごとく、酒などを醸し出すことであり、そこから転じて、ある機運・情勢をつくり出すことという意味です。また最近は、ナーチャリングともいいます。このナーチャリング(nurturing)は「養育」「育成」という意味の英単語であり、マーケティングの分野においては「見込み顧客をより顧客にする(成約に近づける)」という意味で用いられています。

 これらの言葉に一定の時間を要するということが含まれている点は、察しがつくでしょうか。全く興味がなかったお客様が何かをきっかけに急に興味が湧き、即座に注文してきたという事はごく稀ですが、ゼロではないです。しかし、これは「棚からぼた餅」的な出来事であり、弊社ではハプニング受注と呼んでいます。

 ハプニングですから、「偶然や思いがけないできごと」なのです。それを期待するようなことは仕組みと言えないのではないでしょうか。

 インサイドセールスにおける醸成とは、顧客が検討する土壌を作り、いつそれが必要になるのかを見定めタイミング管理していくことです。

 これには、顧客のニーズを知る、顧客の検討プロセスを知ることが必須です。この2つを知るためには当然、顧客へのヒアリングが伴います。これらの情報を一度にヒアリングできることはほぼ不可能で、顧客から信頼を得て徐々に開示してもらえる情報でもありまます。もちろん、インサイドセールスでは効率よくヒアリングする工夫や顧客からの信頼を得られる易いアプローチをしますが、それでも、コンタクトを重ねた方が情報のクオリティが高まり、顧客関係も強固なものになるのは確かです。

 また、ニーズが確認されてもいざ購入となると時間的な経過が必要になることもよくあることです。これを無理に早めることは、顧客不信を買うリスクがあります。それ以前に、インサイドセールスでやるべきことは、時期を早めるのではなく、確実に自社のサービスの購入につなげられるよう、微妙にズレるタイミングを小まめにチェックしつつ、フォローし続けることで成約率が高まります。

 ですから、インサイドセールスの強みが発揮できるのは、検討している顧客を発見することではなく、どのような顧客がどのようなプロセスを経て購入に至るのかを見定め、それぞれに合わせてアプローチしていくことです。これを通常の営業で実践しようとするととてつもない労力とコストがかかりますし、数多くの顧客をこのように追い続けることは不可能でしょう。

インサイドセールスは長期戦です。しかしながらも、間接的な手段によって、顧客をフォローしていくため数多くの顧客を追い続けることができます。

 一つ一つの案件をみていくと時間は確かにかかります。しかし、その種まきを早くから行い、確実に成果につなげていく仕組であることを前提に考えれば、時間を味方にして、準備していくことができるのです。

■成果が見えにくいインサイドセールス

 2点目のデメリットは、前述の「醸成」とい視点と深く関係しています。

インサイドセールスの成果を受注件数や金額だけで見ようとすると非常に小さいバリューと感じやすいと思います。営業プロセスを分業する場合は得にそうですが、受注件数や金額は、受注になる前の商談機会や商談金額が一定量なければそれなりの受注金額にはならないわけで、受注以外の成果をきちんと把握できるようにしておくことです。

成果が「見えにくい」から「出にくい」とならないよう注意が必要です。

対策の1つとして、インサイドセールスの役割を受注という観点から少し広げ、情報収集という視点を評価に組み入れることです。

例えば、ニーズ有りと判断できる情報がどれくらい収集出来ているかや、検討度合が以前より進んだ顧客がどれくらいいるかなどを定量的に測定できるようにします。

 一般的にはリード数などがどれくらい創出できたかという事は指標として設定されることが多いかと思いますが、これだと時間の経過を含めることができません。1つのプロモーションで何件のリードが創出できたかだけでなく、当該マーケットにおいて見込み客がどれくらい増えたか、また見込み客になり得る条件や情報がどれくらい把握できたかなどを定点観測していくことで次なる手を打つことができますし、顧客の醸成具合が測定できます。

 また、受注案件についてはインサイドセールスの貢献度合いを計測できるように指標を設けておき、ポイントかするというやり方もあります。一例をあげると、インサイドセールスがリード創出した時点でのニーズが、そのまま受注案件の内容であった場合は貢献度が50%、受注した案件は別のニーズであった場合はチャンスを作ったという意味で30%、ニーズは明確ではなかったがタイミングが合っていた等の場合は10%のようにです。 

 つまり、インサイドセールスの成果を顧客の醸成率と受注への貢献というマーケティングの視点を取り込むことで成果が捉えやすくなります。

■評価がしにくいインサイドセールス

 3点目のデメリットは、とりわけ分業型のインサイドセールスにありがちなことです。2つめのデメリットと同様に受注件数や受注金額を成果として設定したとしましょう。

 分業型の場合は、クロージングはフィールドセールスが行いますので、その受注案件がインサイドセールスの効果なのかそれともフィールドセールスの営業力なのか非常に測定し難いです。

 また反対に、失注した場合、それがフィールドセールスの営業力不足かもしれませんし、商品力が他者より劣っていたのかもしれません。または、インサイドセールスでの情報が曖昧でフィールドセールスが的を射た提案ができなかったのかもしれません。

 インサイドセールスの情報やアプローチが確かなものであったとしても失注するこも当然あります。受注にならなければインサイドセールスは効果が無かったのかと言えばそれは違うでしょう。たとえ受注に至らずとも商談のチャンスを作れたとすれば、それは大いに評価すべきところです。しかし、これを評価できるようにしておかないと、インサイドセールスの効果は埋もれ、成果が出にくい仕組みと烙印を推されてしまいます。

 ではそのためには、受注・失注の要因を明確にし、それを共有する仕組みを作ることです。何が決定要因また阻害要因がなんだったのかをフィードセールスがきちんと分析・報告することは、インサイドセールスの評価のみならず、フィールドセールスの営業力向上にも活用できるはずです。

 インサイドセールス、フィールドセールスどっちの手柄か?ではなく、それぞればそれぞれの持ち場で効果的に機能したかを丁寧に評価することです。

評価指標は2つ目の視点を組み入れれば、この3つ目のデメリットも克服できると思いますので参考にして下さい。

さて、ここまでインサイドセールスのデメリットをお伝えしました。

効果が高くても時間がかかることをデメリットとするのであればそれは、どのような手を尽くしても改善できないことかもしれません。しかし、それを分かった上でどう活用するかを考えて実践出来れば、間違いなく企業を支える仕組みではないでしょうか。

 -END-