【Vol.106】リード醸成の課題

メールマガジン

 先日、一般社団法人インサイドセールスコンソーシアム主催のインサイドセールスセミナーにて講師を務めさせていただきました。この時、アンケートにご協力いただいたのですが、なかなか興味深い結果でした。課題をお尋ねする項目では、約半数近い46.2%が「リード醸成(見込み客育成)ができていない」にチェックを付けており、上位トップ3の課題の1つでした。

 ちなみに、課題の項目で最も多かったのは「営業活動を効率化したい」の51.3%で、次いで「営業とマーケティングが連動できておらず無駄が多い」が46.3%でした。

 ただこれは全体の数字であり、既にインサイドセールスを取組まれている企業においては、「リード醸成(見込み客育成)ができていない」がトップであり、次いで「営業とマーケティングが連携できておらず無駄が多い」、「営業活動を効率化したい」となっています。

 ここで分かることは、営業活動を効率化するためにインサイドセールスを始めたが、リード醸成が思うように進んでいないということです。またその原因の一端ともいえるのが営業とマーケティングに関する課題であり、インサイドセールスで営業効率をアップさせていくには、マーケティング活動と営業の連携が不可欠ということでしょう。

 営業とマーケティングの話は別の機会に譲るとして、インサイドセールスを始めたからこそより鮮明になったリード醸成に関する課題について、今回は取扱って参ります。

 

■リードとは

 リード醸成に関する課題の前に、まずはリードという言葉の定義をさせてください。インサイドセールスやマーケティング活動をしているとしばしば「リード」という言葉を耳にするのではないでしょうか。リードとは“Lead”であり「導く・もたらす」といった意味の英単語から来ています。今や立派なマーケティング用語として扱われ、その場合は「見込み客」や「見込み情報」という意味です。

  さらに、最近ではリードにも種類があり「SQL」や「MQL」というような言葉で分けられています。

 「SQL」とは「Sales Qualified Lead(セールス・クオリファイド・リード)」の略で、フィールドセールスのようないわゆる営業が日々の活動から発生した「案件情報」を指します。またインサイドセールスによって創出された場合でも商談確度が高いものや営業対応が必要な提案・訴求要素の高いリードです。

 一方、「MQL」は「Marketing Qualified Lead」の略で、WEBやメールプロモーション、展示会等のマーケティング活動によって創出されたリードを指すことが多く、SQLと比較すると商談確度がない場合やまだ営業が対応するレベルにない見込み客といえます。

 では、インサイドセールスが創出したリードはSQLか?MQLか?と問われれば、そのどちらの場合もあると言えるでしょう。インサイドセールス部門が展開する個別のメールプロモーションなどによりまだ商談確度は低いものの、ニーズやポテンシャルがあり醸成すべき顧客となれば、これはMQLといえると思います。

 また、継続してフォローしていく中で、いよいよ検討段階に入り商談機会到来となれば、SQLとなりフィールドセールスへエスカレーション(引継)されます。

 もう少し細かいことを言えば、何をもってニーズがあると判断するのか、そもそもニーズがあればSQLではないかなど、リードを分けたとしてもそれぞれの組織でそれらをどう定義するかによっても意味合いが変わってくるものがリードです。

 ですから、一般的な解釈として「見込み客」や「見込み情報」と解釈することはできるものの、しっかりその組織の中で定義することがまずはリード醸成を語る前に必要なことなのです。

 

■リード醸成のシナリオを描けているか

 前述のアンケートで「リード醸成(見込み客育成)ができていない」という課題は、恐らくMQLをSQLに出来ていないと変換して捉えるのがよさそうです。

 そもそもMQL自体の数が少ないという課題も含まれているとは思いますが、インサイドセールスを始めるとよりこちらの課題感が増してきます。実際に弊社のクライアントでもMQLといったリードそのものは展示会なり、Webやメールプロモーションなりでそれなり創出できるものの、その後をどうしたらよいかという相談が圧倒的に多いです。

 具体的には「なんとなく興味を持ってもらった顧客が実際に購入するステージにもっていくにはどうしたらよいか」というもので、これはまさしくMQLをSQLにレベルアップさせるにはどうしたらよいかという事に他なりません。

 ここで必要なのは、顧客接点から受注またはアフターセールス含めた一連のセールスシナリオです。これは商材によっても多少異なるでしょうし、顧客のセグメントによっても異なります。例えば、同じ商材でも既存ユーザーへのクロスセルやアップセル、他社導入ユーザーへのリプレイス、未導入企業への新規導入などで、踏むべき営業プロセスも異なるでしょうし、勿論、戦略的視点で考えたときのセールスシナリオも変わってくるでしょう。

 このセールスシナリオの一部に該当するのが醸成プロセスです。簡単に言えば、接点を持った後から見込み化するまでのプロセスです。弊社では醸成プロセスは大きく3段階に分けていますが、その中身は、顧客のセグメントによって、見込み化するまでのコンタクト手段やスパン(頻度)、提供する情報、ヒアリングする情報などを決めておく(段階ごとに分けておく)ことです。

 リードを醸成するには、営業戦略的なベースになるセールスシナリオを踏まえつつ、各プロモーションによって醸成プロセスを進めていくことです。

 ですから、その組織(法人)においてセールスシナリオをまず描き、リードの定義をし、醸成プロセスを策定が出来ていれば、リード醸成するためのシナリオは描けていると思います。

 ここまで設計できたとしても、シナリオ通りにいかないのが現実です。リード醸成を円滑に・効果的に・狙い通りに行うには、醸成プロセスを進めるためのプロモーションが的を射たものであるか、目的を実行できる現場スタッフのスキルがあるか、タイミングはあっているのか、といったことがいわばスキーム以外の部分が関係してくるからです。

 戦略なくして戦術なしー。

 何はともあれ醸成するためのシナリオが必要であり、それはインサイドセールスにおいても大きな流れとなる営業戦略(セールスシナリオ)とリンクしているべきです。これが描けてこそのリード醸成になると考えています。

■リード醸成するときの注意点

 リード醸成する流れ(シナリオ)が描けたとして、是非この時に、忘れていけないのは、不可逆的なシナリオにしないという事です。つまり、いつでも後戻り可能なリサイクルなシナリオを作るということです。

 リード醸成をしていると必ず、プロセスがシナリオ通りに進まない時が来ます。停滞とか離脱とか、そのような言葉で表現されるリードです。そうして先に進まないリードをリードからどんどん除外していくと、最終的に残るリード数が少なくなるという課題に直面します。リードは減衰するという発想ではなく、リードは時期を変えて醸成していくものだと考えて欲しいのです。

 植物でも同じ時期に種を蒔いても、発芽するタイミングや成長のタイミングは異なります。リードも同じです。早く実を付けるものもあれば、実を付けずにいるリードもあるでしょう。

 そこで、停滞やもうリードではないと除外するのではなく、そうしたタイムラグを前提として、再度醸成できるスキームにしておくという事です。先程、弊社のやり方にはなりますが、醸成プロセスとは「見込み化するまでのコンタクト手段やスパン(頻度)、提供する情報、ヒアリングする情報などを決めておく(段階ごとに分けておく)こと」と申しました。

 これは、先に進まない場合でもある意味、機械的にこれを繰り返していくことになります。もちろん実施時期や実施結果によって、実際のプロモーションレベルでは多少の変化や工夫を行いますが、基本的にはそのステップにいるうちは、それを繰り返すようにします。

 これでは状況が変わらないのではないか?と思われるかもしれませんが、継続してコンタクトできなくなること、あるいはコンタクトしなくなることがリード醸成における一番の原因だと思います。与信の問題や大きな営業戦略的な方向性が変わりターゲットとしないということであれば別です。しかし、一定の期間はアプローチして、ある一定の期間でその表層的に出現したリードが成就しないからコンタクトしなくなるとことが、他のポテンシャルまでを失うことにつながると思っています。

 少し補足します。他のポテンシャルというのは、リードを1つの商談につながる見込み情報として捉えたとき、その顧客は1つのリードしか持っていないのでしょうか。特定の商材への見込にしかならないのでしょうか。

 多くの顧客は、複数の商談の可能性(または複数のサービスを提供する可能性)があると思います。その商談の数やジャンルが多いほどポテンシャルは高いといえるでしょう。1つのリードは1つのきっかけにしかすぎません。それが成就するかどうかではなく、顧客を多面的に身ながら、継続的にコンタクトを続け、次なるチャンスをつかめるようにすることがリード醸成の肝になると思っています。

 つまり、リード醸成の課題を解決する1つは「継続的なコンタクト」がいかに出来るかではないかと思うのです。

 このリード醸成に関する課題は、まだまだ奥が深いです。改めて別の機会にもまた解説しましよう。今回はこの辺で。

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